
環境省は6月1日に開催した専門家会合(太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会)で、太陽光発電事業における環境影響評価手続き(以下、法アセス)の対象規模を引き下げる方針を示した。
第1種事業の対象を現行の40MW以上から20MW以上へ、第2種事業を30MW以上40MW未満から15MW以上20MW未満へ見直す。施行日は2027年4月1日を予定しており、6月2日~7月1日までパブリックコメントを実施している。
見直しの背景には、2020年の制度施行後も、土砂災害や水害リスクなどを巡り、太陽光発電事業者と地域住民との間で摩擦が生じている事例がある。また、再エネ設備の立地を規制する自治体条例の整備も全国で進んでいる。
エネハブの調査によると、再エネ関連条例は2026年5月時点で、施行予定を含め338件に達した。2025年には青森県が再エネ共生条例および共生税条例を施行した。また、2026年4月には栃木県塩谷町が太陽光発電所設置条例を改正し、新たに「禁止区域」を設けた。さらには、10月1日には静岡県御殿場市でも再エネ発電設備の設置条例が施行される予定だ。
環境省は、自治体による条例アセスメントとの相互補完を通じて、地域との共生を図りながら再エネ導入を促進したい考えだ。
制度変更に伴い、同省は経過措置も設ける方針である。すでに法アセスを開始している30~40MWの第2種事業については、施行後も現行区分のまま手続きを継続できる。また、現在は法アセスの対象外である30MW未満の案件でも、自治体条例などに基づく環境影響評価を実施している場合は、新制度への移行後に途中段階から法アセス手続きを継続できる。一方、施行日前までに電気事業法に基づく認可や届出を完了した事業については、事業内容に大きな変更がない限り、新たな法アセスは不要となる。
対象規模の引き下げにより、法アセスが必要となる案件数は増加する見通しだ。特に、現行制度では第2種事業に分類されている20~30MW規模の案件は、第1種事業へ移行することで、計画段階環境配慮書の作成を含む法アセスが必須となる。このため、事業者には追加コストの発生や開発期間の長期化などの影響が及ぶ可能性がある。
また、これまで対象外だった15~20MW規模の太陽光発電事業も新たに第2種事業の対象となる。ただし、第2種はスクリーニングにより法アセス実施の要否が判断されるため、すべての案件で手続きが必要となるわけではない。
一方で、こうした負担を回避するため、開発事業者が法アセスの対象外となる小規模案件へ移行する可能性もある。また、コーポレートPPAを前提に開発を進める事業者にとっては、運転開始時期の遅延や需要家との契約条件の見直しを迫られる可能性もある。