
経済産業省は7月7日に開催した専門家会合(電力事業環境整備ワーキンググループ)で、新電力の最新の市場シェアを示した。2025年度の販売電力量に占める新電力のシェアは21.9%となった。2025年度は、2016年4月の電力小売全面自由化から10年目にあたる。
電圧別では、低圧が26.1%、高圧が25.3%である一方、特別高圧は11.2%にとどまり、約9割を旧一般電気事業者が占める。エリア別では、最も高い東京の33%に対し、最も低い北陸は10%と、地域による差も大きい。
新規参入が相次ぐなか、小売電気事業者の数も増えている。経産省によると、9月14日時点の登録事業者数は820者となった。一方、登録事業者のうち約250者は供給実績が確認できていないとされている。
ただし、供給実績が確認できない事業者が、必ずしも事業実態を持たないとは限らない。電力の現物取引など、一般消費者向けの小売以外を目的として、小売電気事業者の登録を取得するケースもある。
こうしたなか、2026年7月17日に成立した「電気事業法の一部を改正する法律」により、正当な理由なく1年以上事業を休止していることが、小売電気事業者の登録取消事由に追加される。同法は同月24日に公布され、一部の規定を除き、公布後9ヵ月以内に施行される。
同省の資料によると、休止の判断には、供給計画、発受電月報、電力取引報などの報告を用いて、事業者の供給実績を確認することを想定している。施行時点で1年以上供給実績が確認できない事業者についても、機械的に登録を取り消すのではなく、正当な理由の有無を事業者ごとに確認する方針だ。
新たに登録を取得するのではなく、既存の小売電気事業者を買収して市場に参入する企業もある。新規登録には相応の時間を要するため、参入のスピードを優先する場合の選択肢となる。外資系の電力取引事業者では、米・投資銀行Morgan Stanleyが日本の電力の現物取引に参入するにあたり、小売電気事業者を取得した。デンマークのエネルギー取引会社Danske Commoditiesも同様に、小売電気事業者を取得し、現物取引の体制を整えた。
顧客基盤を持つ小売電気事業者を、事業ごと買収する動きもある。米・投資ファンドBain Capitalは、レジルに対してTOBを実施した。
エネルギー業界の他分野からの参入では、石油・天然ガス開発を手掛けるINPEX JAPANが2026年3月、ミツウロコGEと共同で新会社「株式会社INPEXミツウロコ電力」を設立した。出資比率はINPEX JAPANが51%、ミツウロコGEが49%。新会社は当面、INPEX JAPANの天然ガス顧客への電力供給を提案し、都市ガス会社への供給も視野に入れる。
また、飲食事業を主力とする海帆は、小売電気事業者のどんぐり電力の株式49%を2026年4月に取得した。同社によると、Amazon向けコーポレートPPAに伴う外注コストの圧縮が狙いで、小売営業の拡大そのものを目的としない参入形態である。