
(画像:JERA)
JERAは6月24日に開催した2026年度上期の定例記者会見で、早ければ2026年夏にも、石炭火力を含む長期PPAの販売再開を検討していると明らかにした。
同社は、中東情勢など地政学リスクに伴うLNG供給不安など、有事には石炭火力の稼働を積極的に活用する方針を示した。一方、平時は需要が比較的少ない春と秋を中心にLNG火力を活用し、CO2排出量の抑制を図る。
こうした運用により、価格変動の大きいLNGの調達コストを抑え、電力価格の安定化を目指す考えだ。また、コスト削減効果を需要家へ還元するには、卸電力市場での販売ではなく、小売電気事業者との長期PPAが有効との認識を示した。
JERAによると、有事にLNG火力と石炭火力を併用することで、国内全体の年間発電コストは約3兆円削減できると試算している。試算では、平時の発電コストを長期契約LNGが16円/kWh、スポットLNGが15円/kWh、石炭火力が7円/kWhと設定。一方、有事の際にはそれぞれ25円/kWh、53円/kWh、17円/kWhまで上昇するとしている。
JERAは、東京電力フュエル&パワーと中部電力の折半出資により、2015年に設立された。現在保有する石炭火力発電所6ヵ所・計約10GWはいずれも2019年に両社から事業承継した。このうち、東京電力フュエル&パワーから承継した発電所は、2016~2025年度まで東京電力エナジーパートナーとの長期PPAに基づき運営されていた。
2025年度における国内の電力供給に占める火力発電の割合は約65%で、このうち石炭火力は全体の27%を占めた。火力発電への依存度はエリアごとの差が大きく、原子力発電所の稼働が進む関西エリアでは43%である一方、東北エリアでは92%に達した。石炭火力の比率も、関東エリアの24%に対し、四国エリアでは85%と大きな開きがある。
こうした状況を踏まえ、経済産業省は2026年3月、LNG調達の不確実性による電力価格の高騰を抑えるため、2026年度は容量市場の対象となる非効率石炭火力の稼働抑制措置を適用しないことを決定している。