託送料金、11月1日から北陸を除く9エリアで値上げへ、発電側で最大0.15円/kWh上昇

2026年10月15日

北陸電力送配電を除く一般送配電事業者9社は、11月1日から託送料金を引き上げる。需要側に加えて発電側の負担も増え、発電事業者などにとってはコスト増への対応が課題となる可能性がある。

値上げの理由は事業者によって異なる。北陸電力送配電と中国電力ネットワークを除く8社は、原材料費や労務費、金利の上昇によって送配電設備の建設や保守にかかる費用が当初の想定を上回ったとして、7月10日に収入の見通しの変更承認を経済産業省に申請した。9月4日に認可を受け、9月11日に託送料金単価を見直すための託送供給等約款の変更を届け出た。

レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者が5年間の規制期間ごとに収入の見通しの承認を受け、その範囲内で託送料金を設定する。第一規制期間は2023年度から2027年度で、期中に費用が想定を上回った場合には収入の見通しを変更できる。8社の申請は、この期中の見直しに当たる。例えば東京電力パワーグリッドの収入の見通しは、第一規制期間の5年合計で2,516億円増え、7兆6,062億円となった。

一方、中国電力ネットワークは収入の見通しを変更していない。同社によると、人口減少や省エネの進展などで需要想定が大幅に下振れし、料金収入が減少するため、8月24日に託送供給等約款の変更を届け出て託送料金単価を引き上げる。北陸電力送配電は収入の見通しに変更がなく、料金を据え置く。

需要側の1kWh当たりの平均単価(税抜)は、低圧で12.0~18.5%、高圧で7.4~17.5%、特別高圧で2.9~20.6%上昇する。低圧と高圧では北海道の上昇率が最も高く、低圧は10.23円/kWhから12.12円/kWhへ18.5%、高圧は4.69円/kWhから5.51円/kWhへ17.5%上がる。特別高圧では中国が最も高く、1.75円/kWhから2.11円/kWhへ20.6%上昇する。

発電側の平均単価は2.1~23.4%上昇する。上昇率が最も大きいのは北海道で、0.64円/kWhから0.79円/kWhとなる。最も小さいのは中国で、0.48円/kWhから0.49円/kWhへの上昇にとどまる。

発電側課金は、それまで需要側が負担していた送配電設備の維持や拡充の費用の一部を、発電事業者も負担する制度で、2024年4月に導入された。kW課金とkWh課金で構成され、課金割合は当面の間「kW課金:kWh課金=1:1」とされている。対象は原則として系統に接続して逆潮流する電源で、2024年3月31日以前に認定されたFIT/FIP案件や10kW未満の小規模電源などは対象外となる。揚水発電や系統用蓄電所は、kWh課金が免除される一方、kW課金の対象となる。

電力・ガス取引監視等委員会が9月29日に開催した専門家会合(制度設計・監視専門会合)では、発電側課金のkW課金とkWh課金それぞれの単価が示された。上昇率が最も大きい北海道では、いずれも税込で、kW課金単価が110.00円/kW・月から137.50円/kW・月に、kWh課金単価が0.35円/kWhから0.43円/kWhに上がる。ただし、系統への接続状況などに応じて割引が適用される場合があり、実際の課金額は発電設備によって異なる。

今回の値上げは、最終的には需要家の負担増につながる。発電側でも、課金対象となる電源のコスト負担が増す。非FITや卒FITなどの相対契約では、発電側課金の上昇分を電力価格に転嫁するかどうか、発電事業者と小売電気事業者が協議するケースも考えられる。一方、新規のFIT/FIP電源では、発電側課金の相当額が調達価格や基準価格の算定に反映される仕組みとなっている。

系統用蓄電所は、充電時に需要側の託送料金を支払い、放電時には発電側課金のうちkW課金を負担する。今回の値上げではその両方が上がるため、蓄電所事業者の系統利用コストは増える。事業者によっては、こうしたコスト増を卸電力市場や需給調整市場での入札価格に反映させる動きにつながる可能性がある。

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