
(画像:Energy Vault)
米・蓄電システム大手のEnergy Vaultは現地時間の5月27日、独・再エネ開発大手のBayWa r.e.から、日本国内の系統用蓄電所の開発案件を取得したと発表した。同社は2026年4月、計850MW規模の案件取得について公表していたが、今回の発表で売主がBayWa r.e.であることを正式に明らかにした。
取得対象には、開発案件に加え、土地権利の取得、各種法規制への対応、系統接続協議などに関する専門知識を持つ国内開発チームも含まれる。
取得案件は、2027年下期の着工許可取得を目指す350MWの案件と、500MWの初期開発案件で構成される。先行する350MW案件については、3時間の運転継続時間を想定している。同社は、この案件について米テキサス州で一般的な短時間稼働型の蓄電所案件と比べ、1MW当たりのEBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前利益)が上回ると予測している。
Energy Vaultは、「日本では資金調達コストが比較的低く、案件単位での経済性をさらに高めていることから、Energy Vaultの資産保有戦略にとって非常に魅力的な市場だ」と述べた。これは、同社のMichael Beer CFOが2026年第1四半期決算説明会で示した見解を改めて強調したものとなる。
同決算説明会では、Robert Piconi CEOが、「参入初期段階では二桁台前半のIRR(内部収益率)を想定しており、今後の最適化による上振れ余地もある」と説明していた。
Energy Vaultは今後、取得した案件の開発を推進するとともに、日本国内でのさらなる事業機会を探り、事業規模を拡大する方針である。また、次世代蓄電池技術や蓄電システム構成の評価も進めるとしている。
Energy Vaultは2017年設立。当初は重力蓄電システムの開発を主力としていたが、その後は従来型の蓄電システムや蓄電所保有事業へと事業領域を拡大した。2022年にはSPAC(特別買収目的会社)であるNovus Capital Corporation IIとの合併を通じて上場している。
一方、BayWa r.e.による今回の蓄電所案件の売却は、2025年12月に発表した日本国内の太陽光発電所事業のVirya Energyへの売却に続く動きとなる。同社は、2024年半ばから進めている事業再編の一環として、2027年末までに非中核事業から撤退する方針を掲げている。