「環境影響評価法改正案」が成立、リプレース事業の手続き合理化へ

2025年6月23日
環境影響評価手続きの合理化により、事業者の負担を
減らす狙いがある(画像:首相官邸)

政府は6月13日、「環境影響評価法の一部を改正する法律案」を参議院で可決・成立させた。同法案は2025年3月に閣議決定され、国会に提出していた

今回の改正では、老朽化した風力発電所や水力発電所のリプレース(建て替え)事業に関する手続きの合理化に加え、環境影響評価手続きにおいて作成した書類(アセス図書)の長期公開制度が新たに導入される。

改正の背景には、環境影響評価手続きを簡略化することでリプレース事業を円滑に進める目的がある。また、事業者の手続きの負担やコストの軽減が期待される。現行法では新規事業と同様に、位置検討や周辺環境調査を求められていたが、改正法では建替事業の特性を踏まえ、配慮書に記載すべき事項から「事業実施想定区域の選定に係る調査・予測・評価」が除外され、「既存事業の環境影響を踏まえた環境配慮の内容」を記載する形式に改められた。

また、アセス図書については、環境大臣がインターネット上で長期間(数十年単位)公開できる制度を新設する。これにより、後続事業者による過去の評価情報の活用が容易になり、環境影響評価手続きの効率化が期待される。

手続きの簡略化の対象となるリプレース事業は、既存の風力発電所やダムを除却・廃止し、同一または近接区域に同種の施設を新設する事業で、規模の変更が政令で定める範囲内であることが条件である。改正法の施行時期は、公布の日から2年以内に政令で定められる予定であり、アセス図書の長期公開に関する規定は1年以内に施行される。

陸上風力発電では運転開始から20年以上が経過した設備も多く、今後リプレース案件が増えることが見込まれる。こうしたなか、今回の制度改正によって運転再開までの期間短縮やコスト低減が期待されている。

2025年に入ってからは、コスモエコパワーが青森県東通村に保有する「新岩谷ウィンドーパーク」(出力:27.0MW/AC)のリプレース工事が完了したほか、ユーラスエナジーホールディングスが青森県横浜町に保有する「ユーラス大豆田ウインドファーム」(出力:10.5MW/AC)で工事が始まるなど、すでに多くの案件がリプレース工事を進めている。

一方で、環境影響評価手続きの影響による事業内容の見直しやそれに伴うコストの増加により事業の中止を決定した事業もある。JR東日本エネルギー開発が山形県米沢市で計画していた「栗子山風力発電事業」(出力:最大34MW)は、環境影響評価手続きに起因する運転開始時期の遅延や追加コストを理由に事業を中止した。

なお、風力発電の制度整備は陸上に限らず、2025年6月上旬には洋上風力の開発を排他的経済水域(EEZ)でも可能とする「海洋再生可能エネルギー利用促進法」の改正も成立している。政府は風力発電の導入拡大に向けて、陸上風力・洋上風力の双方で制度整備を進めている。

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