
(画像:自然電力)
自然電力と東京建物は8月12日、自然電力が保有する大分県の出力480kWdc/400kWac「由布庄内野畑太陽光発電所」を対象とするバーチャルPPAを締結したと発表した。
同発電所は本契約に合わせてFITからFIPへ移行する。同発電所に由来する非化石証書は、東京建物が保有する福岡県福岡市の「東京建物博多ビル」へ長期的に供給する。
同発電所は2015年に運転を開始した。経済産業省の事業計画認定情報によると、2012年度に、10kW以上の太陽光発電を対象としたFIT価格40円/kWhで認定を取得している。買取期間は2035年12月までとなっている。
バーチャルPPAでは通常、契約価格と市場価格の差額を決済するため、市場価格の変動が需要家側のコストに影響する場合もある。今回の契約では、FIP制度を活用して価格変動リスクをスキーム全体で管理し、市場価格に連動しない形で東京建物へ環境価値を提供する。これにより、東京建物は将来の調達コストの予見性を高められるとしている。こうしたスキームが可能になった背景には、2025年4月以降の制度変更がある。2022年4月以前に稼働した既設のFIT案件でも、FIPへ移行したうえでPPAを活用できる環境が整備された。
また、RE100の技術要件では、運転開始から15年を経過したFIT電源は、リパワリングなどの新たな投資を伴わない限り追加性が認められない。2012年のFIT制度開始以降に建設された発電所の多くが2027年以降にこの要件を外れるため、FIT非化石証書の供給減少にともなう価格上昇や予見性の低下が懸念されている。本契約では、追加性が認められる環境価値を2030年12月まで確保できる。
また、高い買取価格が設定されている既設のFIT太陽光をFIPへ移行する手法は、新設案件と比べて価格面で優位になることがある。また、新設案件では活用できる補助金が限られる場合もある。
自然電力は2022年4月から、東京建物の物流施設「T-LOGI福岡」の屋根設置太陽光で発電した再エネ電力を、自己託送制度を活用して東京建物博多ビルへ供給するための需給管理業務を支援している。同ビルで消費する電力のうち自己託送分を除く部分については、自然電力がFIT非化石証書を調達してきた。今回の契約は、こうした取り組みに続くものとなる。
エネハブのPPAデータベースによると、自然電力はこれまでにも複数の企業とPPAを締結している。2025年10月には、米・Microsoftと3件の太陽光発電所を対象とするPPAを締結し、同社との契約容量は累計100MWに達した。また、GoogleなどともPPAを結んでいる。
東京建物は、2024年につなぐネットコミュニケーションズとオンサイトPPAを、2025年には九電みらいエナジーとオフサイトPPAを締結している。