
(画像:とっち, CC BY-SA 3.0)
福島市は5月15日、系統用蓄電所と地域との共存と共栄を図るための「系統用蓄電池設備に関するガイドライン」を5月13日に制定したと発表した。
同ガイドラインでは、系統用蓄電所の設置区域を定めるとともに、設計から施設管理の基準、地域との合意形成、各段階での届出手続きについて整理している。市は、事業者による遵守状況を監督しながら、地域住民の安全や環境保全に配慮し、事業が円滑に進むよう調整と指導を行う方針だ。
設置区域は、「設置を回避すべき区域」と「設置にあたり慎重な検討を要する区域」の2区分に分類された。前者には、土砂災害の恐れがある地域のほか、砂防指定地、森林法、河川法、鳥獣保護管理法などで定める区域が対象である。後者には、市全域の「設置を回避すべき区域」を除くエリアが設定されている。
また、設計・施工・施設管理基準については、遵守事項を明記し、適切な設置と維持管理を促すとした。
地域との合意形成については、形式的な住民説明会にとどまらない対応を事業者に求めている。事業の目的や環境面への影響、地域固有の文化的側面などについて、住民との建設的な意見交換を行い、実質的な合意形成を図ることを促す。主な手続きとしては、市への事前相談後、「設置計画 兼 事前協議書」の提出や、近隣住民への説明と協議状況の報告を求める。
各段階での届出については、市との事前協議段階で、「防災・安全」「環境」「景観」等への配慮を重視する。市は、計画立案、設計・施工、施設管理、廃止に至るまで、各段階で届出を求め、事業動向を把握していく考えだ。
市によると、現時点で福島市内に系統用蓄電所は設置されていない。一方、市内における再エネ設備の開発状況を受け、福島市では2025年4月に「福島市再生可能エネルギー発電施設の適切な設置及び管理に関する条例」を制定。今回の系統用蓄電池ガイドラインは、それに続く制度整備となる。
また、カナダの再エネ開発事業者であるAmp Energyなどが出資する40.3MWacの「先達山太陽光発電所」の開発などを背景に、同市は2025年12月、再エネ発電所や系統用蓄電所に関する国への提言・要望書を公表した。先達山の斜面に開発された同発電所では、土砂流出や景観の悪化、太陽光パネルの反射光などが課題となっており、再エネ開発と地域との共存が問われている。
同市は国への提言・要望書の中で、条例制定により太陽光発電設備の新規立地条件が厳格化した結果、事業者が系統用蓄電所などへ事業転換する動きがみられるとも指摘。そのため、太陽光発電設備と同様の事業規律を蓄電所にも適用する必要性を訴えていた。今回のガイドラインには、こうした提言内容が反映されている。
エネハブの系統用蓄電所データベースによると、5月19日時点で、開発予定を含む蓄電所案件は全国で600件超・10GW超に達している。再エネ発電所と同様に全国各地で蓄電所開発が進むなか、地域との共存は継続的な蓄電所運営に不可欠である。