NTTアノードエナジーなど、太陽光と系統用蓄電所を組み合わせたHourly Matchingを実証

2026年10月4日
3社はドコモの通信ビルへの供給を想定して評価

NTTアノードエナジー、JERA Cross、NTTドコモ(以下、ドコモ)は9月29日、太陽光発電所と系統用蓄電所を組み合わせたHourly Matchingの実証実験を10月1日から開始すると発表した。Hourly Matchingは、消費電力量と再エネ由来の発電量を1時間単位で一致させる取り組みである。

今回の実証では、NTTアノードエナジーが所有または調達する西日本エリアの複数の太陽光発電所と1ヵ所の系統用蓄電所、同エリアにある複数のドコモの通信ビルを組み合わせる。太陽光発電の余剰電力を蓄電所に充電し、発電量が少ない時間帯に放電した場合に、時間単位のカーボンフリー電力供給率がどの程度向上するかを検証する。実績データを用いたシミュレーションであり、実際の電力供給契約の変更や環境価値の移転は伴わない。

3社は2024年12月から2025年9月までの10ヵ月間、ドコモの通信ビル3拠点を対象に、非FIT太陽光発電とバイオマス発電を組み合わせたHourly Matchingを実証している。太陽光が発電しない時間帯もバイオマス発電で時間単位のマッチングができた一方、バイオマス発電所の定期点検による停止期間には、カーボンフリー電力が不足する時間帯が生じた。これを受け、今回は蓄電所でその不足を補う。

カーボンフリー電力供給率は、太陽光発電所の発電量と、そこから充電した分の放電量の合計が、通信ビルの消費電力量に占める割合として1時間ごとに算定する。また、同供給率と電気料金の関係を評価し、経済合理性を踏まえた適用条件を整理する。

NTTアノードエナジーは、太陽光発電所と系統用蓄電所のデータ提供、発電・需要予測、蓄電所の充放電計画および運用を担う。JERA Crossは、プラットフォームを活用した時間単位のマッチング評価と可視化、経済性評価を担当する。ドコモは、対象となる通信ビルの需要データを提供し、需要家の視点から課題の抽出と実用性の評価を行う。

評価には、JERA Crossが提携するフランスのGranular Energyのプラットフォームを活用し、国際非営利組織のEnergyTagが策定した「EnergyTag Standard」に準拠する。3社によると、EnergyTagの認定発行機関のプラットフォーム上で系統用蓄電所を対象に含めた取り組みは、国内で初めてとなる。

Hourly Matchingをめぐっては、GHG(温室効果ガス)排出量の国際的な算定と報告の基準であるGHGプロトコルで、スコープ2の見直しが進んでいる。改訂案では、マーケット基準方式にHourly Matchingや電力の供給可能性に関する要件を盛り込む方向が示された。その後、2026年7月には、GHGプロトコルとISOが企業向けの炭素会計基準を統合する方針が示された。スコープ2を含む統合基準は、2027年第2四半期にパブリックコメントを実施し、2028年第4四半期に最終版を公表する予定である。

こうした国際的な基準見直しを背景に、企業が再エネ電力の調達効果を時間単位で把握するHourly Matchingへの関心は今後も高まるとみられる。その一例として、関西電力と日清食品のPPAに基づく実証、のぞみエナジーとJERA CrossのHourly Matchingによる電力供給などがある。

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