
経済産業省の専門家会合(電力安定供給ワーキンググループ)は7月14日、複数年にわたりあらかじめ電源を確保できる仕組みを検討する方向性を示した。2030年度頃まで続くとみられる供給力不足に備えるもので、具体的な制度設計は今後の議論となる見通しだ。
同日の会合では、火力発電事業者へのヒアリング内容を整理した。事業者からは、電源を維持できるかどうかを複数年先まで見通せなければ、大規模修繕の判断や、サプライチェーン、人材の確保が難しいとの意見が出ており、仕組みの検討はこれを踏まえたものである。
先月開かれた会合では、電源の新増設が進むまでの過渡期には、火力を中心に既存電源を最大限活用し、休廃止を予定する電源を一時的に維持および確保する方策を検討する。ディマンド・リスポンス(DR)など需要側リソースの活用を進めるほか、2030年度以前の実需給年度では予備電源の活用も選択肢となることが示されていた。
こうした検討の背景には、電力広域的運営推進機関の専門家会合(調整力及び需給バランス評価等に関する委員会)が2026年6月に示した2028年度〜2035年度のエリア別予備率の見通しがある。試算は、過去10年間で最も厳しい気象(猛暑・厳寒)が発生した年度と同等の気象条件を前提とした最大需要である、厳気象H1需要に基づくもので2026年度の供給計画に、2025年度応札の長期脱炭素電源オークションの約定結果を反映した。
沖縄を除く9つの電力供給エリアのうち、東北と東京の夏季予備率は2029年度にいずれも1.6%となり、安定供給に最低限必要とされる3%を大きく下回った。中部、北陸、関西も、2028年度〜2030年度は3%〜4.5%にとどまる。一方、中国、四国、九州は期間を通じて毎年10%を超え、北海道も2028年度の5%を除けば10%以上を保つ見通しだ。
経産省は、2028年度〜2029年度に大規模な火力発電所の休廃止が計画されていることが予備率低下の主因とみている。2030年度以降は、長期脱炭素電源オークションで落札された電源の新増設が本格化するため、予備率は徐々に回復する見通しである。