日本ガイシとリコー、NAS電池とリチウムイオン電池のハイブリッド蓄電所の実証事業を8月より開始

2025年7月27日
日本ガイシ、リコー、大和エナジー・インフラは
初期投資不要の蓄電所の提供を目指す(画像:日本ガイシ)

日本ガイシリコーは、ハイブリッド蓄電所の実証事業を8月より開始すると発表した。蓄電所は、岩手銀行グループのmanordaいわてが所有する「SUNLUMO久慈夏井太陽光発電所」(出力:650kW)内に設置している。

同実証では、日本ガイシが供給するNAS(ナトリウム硫黄)電池(200kW/1.2MWh)と、出力が異なる2種類のリチウムイオン電池(312kW/1.3MWh、90kW/184kWh)を組み合わせたハイブリッドの蓄電所である。長時間の電力貯蔵が可能なNAS電池と、高出力で豊富な製品ラインナップを特徴とするリチウムイオン電池のそれぞれの特長を生かす狙いがある。

この蓄電システムは「バッテリー・アズ・ア・サービス(BaaS)」モデルのもとで導入され、両社が設立した合弁会社NR-Power Lab(出資比率:日本ガイシ51%、リコー49%)がアグリゲーションを担う。

2024年6月には、NR-Power Lab、日本ガイシ、リコー、大和エナジー・インフラの4社が、企業が初期費用をかけずに蓄電池を導入および利用できる新たなサービスの構築を目指す方針を発表しており、今回の実証はその一環となる。また、日本ガイシと大和エナジー・インフラは、将来的にハイブリッド蓄電所の保有と運用を担う合弁会社の設立も視野に入れている。

日本ガイシは、今回の実証においてNAS電池の技術実証を進めるとともに、蓄電所向けの納品に向けた取り組みを進めている。同社は、NAS電池を商業化した初めての企業として、これまでに東邦ガスが三重県で運転を開始した系統用蓄電所(11.4MW/69.6MWh)に採用されたほか、2026年にはサーラエナジーの蓄電所向けに同規模のNAS電池を供給する予定である。

今後、このハイブリッドモデルが普及すれば、初期費用や運用コストの大幅な負担を軽減することに繋がり、中小規模の事業者でも蓄電所の導入を進めやすくなるとみられる。

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