
経済産業省の専門家会合(電力安定供給ワーキンググループ)は7月14日、2026年度の長期脱炭素電源オークションに向けた制度の見直し案を提示した。LNG専焼火力については、他市場収益の還付額を8,000円/kW/年に固定する仕組みの導入や、上限価格の引き上げなどが盛り込まれた。
見直し案は「長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)」として取りまとめられ、7月17日〜8月16日に意見募集が行われた。
まず、募集量の考え方が変更となる。LNG専焼火力は、制度開始当初、短期的な需給ひっ迫への対応として3年間限定で募集を行うこととされていた。しかし、将来の需給バランスや脱炭素技術の進展の不確実性を踏まえ、2026年度以降も当面の間は募集を継続する。2040年までに39〜55GW程度の新設とリプレースを目指し、2026年度は6GWを募集する。2027年度以降も、年5.5〜8GW程度を目安に募集を続ける。
還付の仕組みにも選択肢を設ける。従来の制度は、落札案件の固定費全体を支援する一方で、事業者が卸電力市場や非化石価値取引市場などから得た他市場収益について、約9割の還付を求めている。新たな仕組みでは、この還付額を実績で算定せず、過去の実績をもとに設定した8,000円/kW/年に固定する。固定額は毎年度、コアCPIにより自動補正する。
背景にあるのは、LNGの長期契約をめぐる事業者のリスクである。資源エネルギー庁によると、LNG専焼火力では燃料の安定確保の観点から長期契約の締結が重要となる一方、長期契約には発電所の稼働率が低下して燃料が余る余剰リスクが伴う。現行の還付の仕組みでは還付後に残る収益が余剰リスクに比して少なく、事業者がリスク回避の観点から燃料をスポットで調達し、卸電力市場に限界費用で入札する行動を選びがちになるとの声があるという。還付額を事前に固定すれば、事業者の創意工夫によって還付後に残る収益を増やすことができ、長期契約に伴うリスクを取りやすい環境を整備できるとしている。
事業者は落札後、運転開始年度に実績ベースか固定額かのいずれかを選ぶ。応札価格は現行制度と同様に固定費全体で算定し、実績ベースを選ぶ案件と同じ募集量の中で競争する。
固定額での還付を行う期間は20年に限定し、制度適用期間が20年を超える場合、21年目以降は現行制度と同様に実績ベースの還付に戻す。事業者に大幅な損失が生じる可能性にも配慮し、20年間の後半10年間については、還付方法を改めて選択できることとする。また、過去の落札案件についても、LNGの長期契約の確保を促す観点から新たな仕組みを選択できるようにする。
さらには、上限価格も見直す。これまではLNG基地の整備費用が織り込まれておらず、新規地点での案件には不十分との指摘があったことから、2026年度は基地の整備が必要な案件と不要な案件を区分する。2025年度の5万5,242円/kW/年に対し、基地の整備が不要な案件は6万5,284円/kW/年、必要な案件は9万2,068円/kW/年とする。一方、上限価格の引き上げによって支援総額が増えないようにする観点から、LNG専焼火力の制度適用期間の上限は40年から30年に短縮する。
なお、2026年度のオークションは2027年1月に入札が予定されている。