
テスホールディングスは8月14日、連結子会社のテス・エンジニアリングが受注していた系統用蓄電所の工事請負契約を解約すると発表した。発注者は、大和エナジー・インフラが出資するSPC(特別目的会社)のDEIバッテリーファンドアルファで、解約は2026年8月末を予定している。
対象は、熊本県錦町で計画していた24.9MW/100.3 MWhの系統用蓄電所である。テス・エンジニアリングは2027年12月の納期で、約40億円の契約を受注していた。
九州電力送配電による系統接続の技術検討の結果、系統連系に必要な工事費負担金が当初の想定を大幅に上回り、工事にも長期間を要する見通しとなった。これを受け、発注者であるDEIバッテリーファンドアルファが事業性の確保は困難と判断し、開発の中止を決めた。
テスホールディングスは、今回の解約は系統連系をめぐる外部環境と発注者の事業判断によるもので、テス・エンジニアリングの設計や調達、施工に起因するものではないとしている。同社グループが受注または開発に関わっている他の蓄電所EPC(設計・調達・建設)案件については、工事費負担金の増加や系統連系工事の長期化を理由とする解約や中止は生じていないという。
本案件は、大和エナジー・インフラとGotion Japan、CO2OSが2024年3月に締結した業務提携に基づく第1号案件である。同提携では、中国の蓄電池メーカーであるGotionの蓄電システムを2年間で国内に1GWh導入することを目指していた。DEIバッテリーファンドアルファが2025年2月に案件を取得し、テス・エンジニアリングが同年4月にEPC契約を受注していた。運転開始は2028年を予定していた。
テスホールディングスと大和エナジー・インフラは2025年2月にも系統用蓄電所事業で提携し、3年間で合計2GWhの案件開発を目指している。この提携に基づき、テス・エンジニアリングは2025年9月、同じく大和エナジー・インフラが出資するSPCのDEIバッテリーファンドベータから約130億円のEPC契約を受注しており、2028年4月の完成を予定している。
大和エナジー・インフラは2025年11月、北海道札幌市で芙蓉総合リース、アストマックスと共同保有する50MW/100MWh「新川蓄電所」の運転を開始し、系統用蓄電所として初の運転実績を得た。北海道千歳市では38MW/160MWhの系統用蓄電所を建設しており、2027年の運転開始を予定している。
今回の中止は、特別高圧の蓄電所を開発する事業者が直面する課題を示している。技術検討を経て確定する工事費負担金や系統連系工事までの期間は、当初の想定と異なる場合があり、事業性を左右する要因となっている。