
インベナジー・ウインドのSPC(特別目的会社)である函館寅沢ウインドは7月23日、北海道函館市で計画していた最大出力47.3MW「(仮称)函館寅沢風力発電事業」の実施を見送ると発表した。事業性を総合的に考慮して判断したとしている。
同社は、風力発電所の設置による再エネ供給を目的に、地域住民や自治体などの支援を受けながら検討を進めてきたと説明する。今回の決定に伴い、環境影響評価法に基づく対象事業の廃止を公告する。
計画では、約1,118haの事業実施区域に、出力4.3MWの風力タービンを最大11基設置する予定だった。着工は2031年4月、営業運転の開始は2035年1月を目指していた。
函館寅沢ウインドは2026年4月に、環境影響評価の「方法書」を公表し、手続きを開始していた。環境影響評価法では、最大出力37.5MW以上50MW未満の風力発電は第二種事業に該当し、手続きの初期段階である「配慮書」の提出は不要とされる。
函館新聞によると、計画地には道有林の水源を守り、水量や水質を維持する役割を持つ水源涵養(かんよう)保安林が計画地に含まれていた。このため、水質の悪化や下流域での洪水、土砂災害、低周波音による健康影響などを不安視する声が住民から上がった。このほか、風力タービン設置に伴う管理道路の整備や、土地造成による森林の分断を懸念する指摘もあった。
こうしたなか、市町会連合会が大泉潤市長に対し、住民の理解を得ながら事業を進めるよう求める要望書を提出。市議会も2026年6月の定例会で、計画の白紙撤回を含む再考を求める決議案を全会一致で可決していた。
米・Invenergyは再エネ発電やLNG火力発電事業などを手掛けており、インベナジー・ウインドはその関連会社である。同社は2024年、日本で初めて手掛ける陸上風力となる北海道の63MW「留寿都風力発電所」を運転開始し、本田技研工業とバーチャルPPAを締結した。現在は、岩手県の「稲庭風力発電事業」と、茨城県と福島県の県境に位置する「茨城塙風力発電事業」の合計214.2MWの陸上風力発電所を建設している。