酒田市、市有の6.9MWFIT陸上風力を活用し、市内への特定卸供給を開始

2025年4月18日
酒田市十里塚風力発電所は2021年4月に運転を開始した

山形県酒田市と「さかた新電力コンソーシアム」は4月1日、市が保有する「酒田市十里塚風力発電所」(出力:6.9MW)で発電した電力を、市内の小中学校などに供給する取り組みを開始したと発表した。

同発電所は、2.3MWの風力タービン3基を設置し、2021年4月に運転を開始した。年間の発電量は約20.5GWhにのぼる。このうち約3.5GWhを市内の小中学校29校に供給する。契約期間は2025年4月〜2028年3月までの3年間。残る約17GWhの電力については、現時点で供給先が公表されていないが、事業の目的が地域内消費の促進であることから、市内の他の需要家への供給が検討されているとみられる。

通常、FIT(固定価格買取制度)で発電した電力は卸電力市場を通じて売電されるが、今回は特定卸供給契約を通じて、地域に直接供給する。

電力供給は、さかた新電力コンソーシアムを構成するやまがた新電力が担う。同社は、地元建設会社で風力電気事業も手掛ける加藤総業と、山形県やNTTアノードエナジーなどの民間企業17社の出資により設立された新電力である。酒田市は公募により事業者を選定し、地域主体の供給体制を構築した。

この取り組みは、これまで市外に売電していた電力を地域内で循環させ、地域経済の活性化を図ることを目的としている。収益の一部は酒田市に寄付され、子ども食堂や部活動の地域移行などに活用される予定だ。また、学校での環境教育を通じて、地域全体で再エネへの理解促進を目指す。今後は、市内の他の公共施設や民間事業者への電力供給の拡大も視野に入れている。

電力の地産地消などを目的に、地域新電力の設立が相次いでいる。また、群馬県でオクトパスエナジーが県所有の水力発電所から県内の企業に電力を供給する3年間のPPA契約を締結した事例もあり、今後ますますこの動きが活発化していくとみられる。

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