
蓄電池を活用した新規事業の構築を進めている
関西電力は5月28日、蓄電所の開発から運営までを包括的に支援するサービスの提供を開始すると発表した。また、きんでんと連携し、2025年12月の設立を目指して蓄電所のO&M(運用・保守)に特化した新会社の設立に向けた検討も始めた。
今回の取り組みは、沖縄を除く9エリアを対象に、系統用蓄電所の用地取得からアグリゲーション、電力取引までを一括して支援するもの。なお、同サービスの初めての提供先は、千葉県の不動産・太陽光事業者であるデベロップであり、今後、土地を賃借して蓄電所の開発を進める予定だという。
同サービスにおける各社の主な役割は以下の通り。構成企業は関西電力とその完全子会社が中心で、きんでんには関西電力が約30%出資している。
- 関西電力:サービス全体の統括を担い、蓄電池の診断や運営支援を行う
- 関電不動産開発:用地の選定・取得を支援
- 関電アセットマネジメント:蓄電所SPC(特別目的会社)のアセットマネジメントを担当
- きんでん:EPC(設計・調達・建設)およびO&M(運用・保守)を担う
- E-Flow:アグリゲーターとして、電力市場での取引を担当
- 関電L&A:保険サービスを提供
関西電力は、自社事業の開発・運営にとどまらず、蓄電所事業向けソリューションの提供を通じて、サービスプロバイダーへの転換を目指しており、全国での蓄電所導入の拡大に貢献する考えだ。
また、他の電力会社も同様に、アグリゲーションやO&Mといった関連事業に注力している。九州電力は「九電グループ経営ビジョン2035」において、こうした分野への取り組み方針を明記している。NTTアノードエナジーも、2025年7月から小規模蓄電所向けの包括支援サービスを開始する予定だ。
関西電力は、2024年12月に和歌山県でオリックスと共同開発した「紀の川蓄電所」(48MW/113MWh)の運転を開始している。このほか、大阪府岬町の多奈川発電所跡地では、きんでんおよびJEXIと連携し、系統用蓄電所(99MW/396MWh)を開発中で、2028年2月の運転開始を見込んでいる。さらに北海道札幌市では、スパークス・グループおよびJA三井リースと共同で、系統用蓄電所(各50MW/175.5MWh)を2ヵ所開発しており、2028年4月の運転開始を目指している。