
経済産業省の専門家会合(調達価格等算定委員会)は先月17日、2026年度以降、10MW以上の一般木質バイオマスや液体燃料(全規模)を使用したバイオマス発電事業に対するFIT(固定価格買取制度)/FIP(フィード・イン・プレミアム)制度の支援を対象外とする方針を示した。
また、すでに支援を受けている事業については、期間終了後の火力発電への転換や事業廃止を防ぐための対策についても議論が始まった。
同会合では、バイオマス発電の発電コストの大半を占める燃料費が、国際市場での燃料需給や円安などの外部環境の影響を受けやすいため、将来的な事業の自立化が見通しづらく、新規の案件形成が大きく進むとは考えにくい状況であることが指摘された。
先月末に運転を開始した「御前崎港バイオマス発電所」(出力:75MW)では、北米産の木質ペレットと東南アジア産のパーム椰子殻(PKS)を燃料として使うことが発表されており、安定した燃料調達と為替リスクを抑えることは、特に海外製の燃料を使う大型バイオマス発電所にとっての生命線となる。
一方、FIT/FIP制度は再エネ電源の自立的な維持・拡大を目指しており、国民負担により導入が支援されていることを踏まえると、事業の自立化が見通しづらいことは、FIT/FIPの支援対象から外す合理的な理由であるという見解が示された。
すでにFIT/FIP認定を受けている電源については、支援期間終了後にバイオマス比率を把握するため、事業者からの定期報告や変更届出を求める考えである。また、支援期間終了後にバイオマス比率が大きく減少したり、ゼロに近づいた場合には、指導対象とし、指導を行なった場合には公表することが提案された。さらに、FIT/FIP期間が終了した事業者には、他の規制や支援策と連携して、実効性を持たせるように対応を検討するという。
なお、2018年度から10MW以上の一般木質バイオマスは入札制に移行しているが、2022年度以降の入札では、いずれも入札件数がゼロとなり、制度の利用が鈍化している。また、2024年3月時点でバイオマス発電のFIT/FIP認定量は8.50GWに達し、FIT以前の導入量を含めた導入量は10.7GWである。2030年のエネルギーミックスにおけるバイオマスの導入目標は8.0GWであり、すでに目標値を上回っているため、これらの背景を踏まえて判断がなされたものとみられる。
なお、10MW未満の一般木質バイオマスについては、今回の会合では言及はなかったが、FIT/FIP価格は2018年度から据え置かれており、少なくとも2025年度までは24円/kWhであることが確認されている。