
発電効率の向上に取り組んでいる
矢野経済研究所は先月、国内における水力発電の導入容量が2028年度に50.5GWとなり、その後2030年度まで横ばいで推移するとの市場予測を発表した。2024年度は50.3GWを見込んでおり、4年間で約200MWの増加である。
水力発電の新設については、FITにより、特に1MW未満の小規模水力でFIT価格が29円〜34円/kWhと高く、採算の取れる適地ではFIT認定が一定程度進んでいる。ただし、適地の減少により導入容量の増加は限定的とされる。
5MW〜30MW未満の事業については、2024年度のFIT価格が16円/kWhにとどまっており、2022年度に始まったFIP制度の影響もあり、中規模水力のリパワリング(水車・発電機等の一括更新)への投資は抑制傾向にあると予測している。一方、大規模水力を対象としたリパワリングは増加するとみられる。
大規模水力発電所のリパワリング工事は各社で広がっており、北陸電力は2025年5月、富山県上市町の「馬場島発電所」(出力:21.85MW)で150kWの出力増を実現している。
また、東北電力も老朽化が進む水力発電所のリパワリングに取り組んでおり、同社が保有する約200ヵ所・合計出力2.5GWのうち、40%以上が運転開始から100年近く経過している。具体的には、2025年2月に、新潟県津南町の「宮野原発電所」2号機(出力:2.6MW)のリパワリングを完了した。出力は維持したままだったが、発電効率の向上により約8%の発電量の増加を見込んでいる。
さらに同社は、ダム式水力発電所での取水量の増加を通じて出力の引き上げにも取り組んでおり、これまでに3ヵ所で実施している。秋田県由利本荘市の「郷内発電所」(出力:14.8MW)では、従来の出力13.2MWから約12%の引き上げに成功した。
また、既設インフラを活用した発電所の開発もみられる。北陸電力は、石川県白山市において既設の「鶴来発電所」(出力:1.6MW)の未利用水を活用した「鶴来古町発電所」(出力:584kW)を2025年5月に運転を開始した。こうした効率化による発電量の底上げが各社共通のテーマとなっている。