
(画像:原子力規制委員会)
原子力規制委員会は4月30日、北海道電力の原子力発電所「泊発電所」3号機(出力:912MW)について、同機が活断層上に位置していないと結論づけ、新規制基準に適合すると認める審査書案を了承した。
また、津波にも十分に耐え得る構造であると判断しており、これは再稼働の事実上の合格に相当する。この審査書案について、5月1日からパブリックコメントの募集が始まっており、今年の夏頃に正式な合格判断が下される見通しだ。
また、電力広域的運営推進機関が4月28日に公表した2024年度の長期脱炭素電源オークションの約定結果によると、泊発電所3号機は、「既設の原子力電源の安全対策投資枠」として約902MWを落札。北海道電力は、同3号機を2027年のできるだけ早期に再稼働することを目指している。
泊発電所は2012年5月の定期検査以降、運転を停止しており、北海道電力は2013年7月に再稼働に向けた安全審査を申請。その後、断層の活動性評価や、2024年3月から津波対策として新たな防波堤の設置工事を行い、審査が長期化していた。これは同時期に申請を行った他の原子力発電所よりも審査が長引いていた。その一例として、関西電力の高浜発電所3・4号機や九州電力の川内発電所1・2号機は2015年〜2017年の間に再稼働している。
また、2022年には再稼働に反対する地元住民が起こした訴訟において、札幌地裁は津波対策が不十分として運転の差し止めを命じる判決を下し、現在も控訴審での審理が続いている。なお、今年に入り、四国電力の伊方発電所や九州電力の川内発電所に対する住民による運転差し止め請求が地方裁判所で棄却される事例が続いており、今後の司法判断にも注目が集まるとみられる。
泊発電所3号機の再稼働は、2025年以降、北海道内で急増が見込まれるデータセンターや半導体工場の電力需要に対応する上で、重要な役割を果たすことになる。北海道電力の「ほくでんグループ経営ビジョン2035年」において、2030年代前半までにすべての原子力発電所を再稼働する目標を掲げている。