東京電力HD、柏崎刈羽原発1・2号機の廃炉検討、県に10年で1,000億円拠出へ

2025年10月24日
再稼働に向け、旧型2基の廃炉を検討
(画像:原子力規制委員会)

東京電力ホールディングス(以下、「東京電力HD」)の小早川智明社長は10月16日、参考人として招致された新潟県議会で「柏崎刈羽原子力発電所」1・2号機(各出力:1.1GW)の廃炉を検討すると表明した。

同社はまた、新潟県に対して今後10年程度で総額1,000億円規模の資金を拠出し、地域経済活性化や防災支援に取り組む方針を示した。拠出資金は次世代エネルギー分野での新事業創出や雇用促進、除雪・排雪体制の強化、避難施設の環境整備などに充てられる見通しだ。こうした地域貢献策を通じて、柏崎刈羽原発の再稼働に向け、地域の理解を得たい考えである。

再稼働を巡っては、法的義務はないものの、地元の同意が焦点となっている。新潟県は2025年8月から9月にかけて、再稼働に関する県民の意識調査を実施し、花角英世知事はその調査の結果を踏まえて再稼働の是非を判断する方針を示している。同発電所が立地する柏崎市の桜井雅浩市長は、再稼働を容認する意向を示す一方で、災害時のリスク分散の観点から、1〜5号機の廃炉計画を示すよう求めていた

柏崎刈羽原発は、7基合計で約8GWの出力を持つ世界最大級の原発である。2〜4号機は2008年から停止しており、残る4基も2011〜2012年に停止した。経済産業省・資源エネルギー庁は2024年7月に実施した県民説明会で、6号機または7号機のいずれか1基を再稼働させれば、関東エリアの電力予備率が約2.4%向上するとの見解を示している。

東京電力HDは再稼働に向けた準備を進めており、2025年6月に6号機(出力:1.3GW)に燃料装荷作業を完了し、現在は主要な原子炉系設備の健全性確認を進めている。

7号機(出力:1.3GW)は2024年4月に燃料装荷を完了していたが、10月21日に燃料の取り出し作業を開始した。再稼働の準備として建設を進めていた「特定重大事故等対処施設」が、2025年10月13日の設置期限に間に合わなかったためである。なお、6号機における同施設の設置期限は2029年9月となっている。

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