
他の電源を活用したPPAも広がりを見せている
東北電力は8月1日、AGCエレクトロニクス(以下、「AGEL」)と締結した太陽光・風力によるハイブリッド型オフサイトPPAに基づき、電力供給の一部を開始したと発表した。
供給先は、福島県郡山市のAGEL本社・工場および本宮市の工場で、年間約18.5GWhの電力を供給する予定だ。これは、AGELの消費電力量の約30%に相当する。
同PPAでは、太陽光発電所12ヵ所(合計出力:4.43MW)と風力発電所2ヵ所(合計出力:3.98MW)から電力を調達する。太陽光発電所は宮城県と福島県に、風力発電所は岩手県と秋田県に立地している。
太陽光発電所は、サンテックエナジーディベロップメント(以下、「サンテック」)と富士テクニカルコーポレーション(以下、「FJTEC」)が保有している。宮城県丸森町にあるサンテックの太陽光発電所(2.6MW/DC、1.7MW/AC)は、2020年度にFIT認定を受けていたが、PPA契約の締結に向けてFIPに移行し、2025年3月から供給を開始している。年間発電量は約2.7GWhを見込んでいる。一方、FJTECが保有する太陽光発電所11ヵ所(各出力:250kW/AC)は、年間約4.5GWhの発電量を見込んでおり、2025年12月から供給を開始する予定だ。
風力発電所は、HSE傘下のくろしお風力発電が保有しており、岩手県軽米町の「軽米風力発電所」(出力:1.99MW)と秋田県の発電所(出力:1.99MW)を活用する。2025年6月にAGELへの供給を開始し、年間発電量は約11.3GWhを見込んでいる。HSEと経済産業省のデータによると、軽米風力発電所は2021年2月にFIT制度のもとで運転を開始し、その後FIPへ移行したとみられる。また、秋田県由利本荘市の風力発電所は新設案件である可能性が高い。
AGELの両事業所ではすでにオンサイトPPAを導入しているが、オフサイトPPAは今回が初めてである。一方、関連会社のAGCテクノグラスでは、住友商事と四国電力の合弁会社Sun Trinityとの太陽光オフサイトPPAや、中部電力ミライズとの水力由来の非化石証書を用いたバーチャルPPAなどを締結しており、グループ全体で再エネ調達を強化している。
東北電力はAGELとの契約のほかに、TOPPANホールディングスと風力・水力によるハイブリッド型オフサイトPPAによる電力供給も開始し、従来のPPAにとらわれない形でPPAを締結している。