
東京ガスは3月6日、系統用蓄電所の運用サービスの提供を開始した。初号案件として、レノバが開発を計画している2ヵ所の系統用蓄電所、合計165MWの需給運用業務を受託した。
両社は昨年4月に再エネ分野での協業を拡大する目的で業務提携契約を締結しており、東京ガスはレノバの少数株式を取得している。
東京ガスはアグリゲーターとして、電力市場価格予測に基づく蓄電池の充放電計画を策定し、卸電力市場、需給調整市場、容量市場で取引を行うほか、蓄電池の運用を担当する。同社は小売電気事業者として培ったノウハウや、自社で開発したシステム、戦略的提携先であるオクトパスエナジーが開発したデジタルプラットフォーム「クラーケン」を活用して、効率的な運用サービスを提供する。
レノバが開発中の系統用蓄電所は、北海道苫小牧市の「苫小牧蓄電所」(出力:90MW)と、静岡県周智郡の「森町睦実蓄電所」(出力:75MW)である。東京ガスはこれらの蓄電所が運転を開始する2028年度から、20年間にわたり需給運用を実施する予定だ。なお、これらの蓄電所は、レノバが長期脱炭素電源オークションで落札した事業であり、資金調達には三菱UFJ銀行などが関わっている。
東京ガスは、昨年4月に系統用蓄電所事業に参入し、完全子会社のニジオがその開発や保守業務を担当している。第一号案件として、現在建設中の大分県の「大分県角子原蓄電所」(25MW/50MWh)は、経済産業省の「系統用蓄電池等導入・配電網合理化等再生可能エネルギー導入加速化事業費補助金」の採択を受けている。そのほかにも、2024年度に北海道における蓄電所事業の開発・建設費用の一部を支援する補助金の採択も受けている。
また、東京ガスはEku Energyの日本法人である日本蓄電が開発を進める宮崎県の「広原蓄電所」(30MW/120MWh)についても、20年間の運用権を獲得している。東京ガスは、2030年度における系統用蓄電所の運用設備容量800MWを目指し、事業の拡大を進めている。