電源開発、建設中の「大間原子力発電所」を長期脱炭素電源オークションで応札へ

2025年5月23日
大間原子力発電所は安全審査中である
(画像:Petra ALT, CC BY-SA 3.0)

電源開発(以下、「Jパワー」)は5月9日、青森県大間町に建設中の「大間原子力発電所」(出力:1.383GW)について、2025年度の長期脱炭素電源オークションへ応札する方針を明らかにした。これは、同日に開催した2024年度(2025年3月期)の期末決算説明会で示されたものである。

説明会では同オークションの活用を検討している大間原子力発電所の経済合理性について質問があり、Jパワーは「どのような応札を行うべきか検討を行っている。大間は非常に息の長いプロジェクトであるので、利益の予見性を持つべく様々な検討を進めている。」と回答した。

大間原子力発電所は、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を1基建設し、燃料として使用済み核燃料を再処理したプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を100%使用する計画だ。2008年5月に着工し、MOX燃料のみで運転する世界初の商業用原子炉としての期待が高かった。

しかし、2011年の福島第一原発事故の影響を受け、2011年3月〜2012年10月まで工事を中断した。その後、新規制基準の適合性審査が長期化し、安全対策工事の開始時期も遅れており、これまでに運転開始時期を何度も延期してきた。2024年9月時点では、工期短縮により、2030年度の運転開始を維持する方針を示していたが、​​安全審査の進捗次第ではさらなる見直しもあり得る。2025年3月時点では、基準地震動に関する審査に対応中である。

なお、長期脱炭素電源オークションでは、2023年度に中国電力が建設中の「島根原子力発電所」3号機を1.316GW落札。2024年度には、既設原子力電源の安全対策投資のための区分を新設し、合計3基が落札された。具体的には、日本原子力発電の「東海第二発電所」が1.056GW、北海道電力の「泊発電所」3号機が902.1MW、東京電力ホールディングスの「柏崎刈羽原子力発電所」6号機が1.195GWを落札。

第7次エネルギー基本計画の電源構成の見通しを達成するためには、大間および島根の新設原子力発電所の稼働、さらに福島第一原発事故以降停止している既設炉の再稼働が不可欠である。

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