
九州電力は10月14日、鹿児島県にある「川内原子力発電所」1号機(出力:890MW)について、10月16日から第29回定期検査を実施すると発表した。検査期間は約3ヵ月で、完了予定は2026年1月16日である。
今回の定期検査では、燃料集合体157体のうち一部を新燃料に交換し、タービン動補助給水ポンプの取り替えや、格納容器真空逃がし装置の海外製から国内製への交換といった主要工事が予定されている。
これにより、九州電力が再稼働している原子炉4基のうち、川内原発1号機と「玄海原子力発電所」4号機(出力:1.18GW)の2基が現在運転を停止している状況となった。玄海4号機は7月27日に定期検査に入り、9月30日に運転を再開する計画だったが、バルブの不具合が発見されたことにより再稼働が延期されており、現時点で具体的な再開時期は示されていない。
この結果、稼働中の原子炉は川内原発2号機(出力:890MW)および玄海原発3号機(出力:1.18GW)の2基のみとなり、九州エリアにおける原子力の発電容量は一時的に半減している。両基は、いずれも現在フル稼働している。
供給力の低下と季節外れの真夏日の影響が重なったことで、10月16日受け渡しの日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場における九州エリアプライスは平均18.65円/kWhに上昇し、今年に入って2番目の高値を記録した。さらに、全国平均(システムプライス)を21%上回り、2021年半ば以降で2番目に大きな価格差となった。
玄海原発4号機の運転再開時期が依然として不透明ななか、今後の九州エリアの電力需給および市場価格への影響が注目される。