リニューアブル・ジャパン、太陽光発電条例をめぐり京都府木津川市を提訴と報道

2025年3月7日
計画予定地周辺には複数の川が流れており、
事業者は地域住民との合意形成を求められている

京都新聞の3月6日付の報道によると、合同会社京都木津川が木津川市に対して、同市が2020年に制定した「木津川市における太陽光発電設備に関する条例」の無効を求めて提訴したと報道した。

リニューアブル・ジャパンのSPC(特別目的会社)である同社は、建設を抑制する条例の制定は憲法に違反するとした。

木津川市が制定した条例は、事業面積500m2以上の抑制区域」に設置する太陽光発電所の建設を制限するもので、該当する場合には市長が事業に「同意しない」と定めている。リニューアブル・ジャパンは、京都府木津川市の山林を伐採し、約48ヘクタール(480,000m2)の土地にメガソーラーを設置する計画を進めていたが、この条例により計画は大きな影響を受けている。

リニューアブル・ジャパンは2019年に、木津川市に対して「計画を白紙撤回する」と伝えた経緯がある。しかし、同社によると発電事業の中止ではなく、造成計画の再検討と推進体制の再構築を含む調整が必要だとする認識を持っており、同市や地域住民との認識に隔たりがある。

さらに、計画予定地が過去に南山城水害のあった鳴子川に近いこともあり、地元住民の間では土砂流出などの災害への懸念が広がっており、事業計画への反対意見も出ている。同発電所の建設を行うためには、京都府の林地開発許可を取得する必要があり、事業者と住民との合意形成が求められている。その一環として、京都府は「京都府林地開発行為の手続に関する条例」を施行しており、府は地域住民から提出のあった意見書に対する「見解書」を京都府知事に提出することを事業者に義務付けている。

リニューアブル・ジャパンは、2024年8月に京都府知事に対し「見解書」を提出し、同社は2016年3月に経済産業省から発電所の認定通知を受けていることを示した。また、「(太陽光発電設備に関する)条例の遡及的適用は法律上問題がある」と主張し、すでに関西電力との系統連系契約を結んでいる旨、説明した。
近年、再エネ発電所の開発をめぐり、地域住民との合意形成不足や土砂災害の懸念が新たな課題となっている。特に、青森県福岡県飯塚市など、全国的に条例を導入する自治体が増加しており、今後もその数は増え続ける見込みである。

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