
登録を目指している
9月17日、メガソーラーの開発を防ぐことを目的に熊本県と大分県をまたがる「阿蘇くじゅう国立公園」の区域を3,300ヘクタール拡張する環境省の計画案が熊本県の「県国土利用計画審議会」によって了承された。
近年、同国立公園の周辺の草原でメガソーラーの建設が相次いでおり、阿蘇の景観とイメージが損なわれるとの懸念が地元住民からあがっていた。
また、地元の自治体から環境省に対して草原の保護と景観の保全を求める要望が出されており、環境省が2年の月日をかけて検討した結果、同国立公園の区域を拡張する計画案をまとめ、今回熊本県の審議会によって了承された。
阿蘇地域にはいくつものメガソーラーが建設されており、近隣地域では新たな建設計画もある。2023年11月末時点でメガソーラーは阿蘇地域で合計20ヵ所、阿蘇くじゅう国立公園の南側の山都町には6ヵ所確認されており、2022年には119ヘクタールの土地に約80MW(DC)の太陽光発電所が稼働した。
また、先月には経済産業省が84ヘクタールに約110MW(DC)の太陽光発電所を建設する計画の環境アセスメント準備書の書類審査を実施しており、太陽光発電事業者からの同エリアへの関心の高さがうかがえる。
熊本県の審議会によって了承された環境省の計画案では、「特別地域」の拡張が含まれており、特別地域では原則としてメガソーラーの建設はできなくなる。近年、自然保護と再エネ開発の両立が課題となっており、青森県では自然環境と再エネ開発が共存共栄していくためのゾーニングが議論されており、宮城県では再エネ発電設備の適地誘導のための課税条例が施行されている。
環境省は同国立公園の拡張計画案を今年度中に決定する見込みで、メガソーラーの開発を防ぐことを目的に国立公園の区域が拡張されれば、全国でも初めての事例となる。