
(画像:Keishi Nukina / Enehub)
パワーエックスは12月19日、東京証券取引所グロース市場に上場した。IPO(新規公開株式)による調達資金は、6.8GWhまでの年間生産能力拡大および次世代の大規模系統用蓄電池製品の開発に充てる計画だ。
同社は現在、岡山県内の工場でコンテナ型蓄電池ユニットを製造しており、同工場の生産能力は2025年度の0.8GWhから、2027年度以降は2GWhへと拡張される見込みである。さらに、2028年度には県内に新たな製造拠点を開設し、2029年度までには同拠点の生産能力を年間約4.8 GWhまで引き上げる計画としている。
パワーエックスの定置用蓄電池システムの採用実績は、運転中および開発中の案件において、合計容量1.5GWhを超えている。このうち約89%を系統用蓄電池が占め、特別高圧案件だけで900MWh以上の蓄電容量に達する。残りの11%は、再エネ併設設備および産業・商業向け案件に二分している。
同社の伊藤正裕社長は、上場セレモニー後に東京証券取引所で行われた記者会見で、パワーエックスの蓄電池システムは中国製と比べ10〜15%程度コスト高の印象だが、それだけの付加価値はある、と説明した。一方で、同社製品は、エネルギー事業者が自社で長期保有し運用する目的で採用されるケースが多く、価格重視の案件は第三者への転売を目的とするケースが多いと述べた。
岡山を拠点とする同社は、蓄電池セルを除くすべてのハードウェアおよびソフトウェアを国内で開発・製造している。伊藤社長は、セルについては既に汎用品化が進んでおり、現状では中国製セルを選択していると説明。今後は常に最適なセルを選定する方針のもと、2027年までに東南アジアからセル調達を行うなど供給網の多様化を進める計画を明らかにした。
同社長によると、「需給調整市場における上限価格は1kW・30分あたり19円で設定されているが、直近1年間は約17円で推移している。このため、需給調整市場に参加している系統用蓄電所案件は驚異的なIRR(内部収益率)を示している。通常は5〜6年と想定される投資回収期間が、数ヵ月で回収できるケースもある」とした。将来的に経済産業省の審議会等で議論されている新たな上限価格である約7円、あるいは揚水発電並みの4円まで低下したとしても、4〜6%、場合によっては10%の健全なIRRを確保できるとの見解を示した。
パワーエックスは、大型蓄電システムの開発・製造・販売、超高速EV充電システムの販売および関連サービス、再エネなどの電力供給サービス、船舶用蓄電システムの開発・製造など、複数の事業分野で活動しているが、売上の大半は蓄電池システムの販売が占めている。