
イーレックスは6月9日、東日本旅客鉄道(以下、「JR東日本」)の自社内オフサイトコーポレートPPAの電力運用を行うと発表した。JR東日本が自社保有する太陽光発電所の電力を、駅舎など鉄道関連施設に供給する。
同PPAでは、JR東日本が茨城県笠間市から水戸市にまたがって保有する「常磐線友部・内原間太陽光発電所」(出力:4.2MW)で発電した電力および非化石証書を、エバーグリーン・マーケティングを通じて茨城県内の駅舎22ヵ所を含む、合計33ヵ所へ供給する。
イーレックスはアグリゲーターの役割を担う。なお、小売電気事業者であるエバーグリーン・マーケティングはイーレックス(出資比率:66%)および東京電力エナジーパートナー(同34%)との合弁会社である。
同発電所は、常磐線友部〜内原間の線路沿いにあるJR東日本の敷地内に設置されており、年間発電量は約4.7GWhを見込んでいる。この電力量は、エバーグリーン・マーケティングがJR東日本に供給する電力の約32%に相当する。現在はFIT制度を活用しているが、FIPへの移行手続きが完了次第、供給を開始する予定だ。
イーレックスとJR東日本は、2024年12月に資本業務提携を締結しており、再エネの導入と活用に向けた協業を進めている。今回の電力運用受託は、イーレックスグループにとって需要家が保有するFIP電源を活用した初めての契約である。
イーレックスは、バイオマス発電や電力取引に加え、アグリゲーションやコーポレートPPA、蓄電所事業といった新しい事業領域への展開を進めており、既存の小売事業との相乗効果によって、収益の向上を目指す方針を示している。アグリゲーション事業の本格展開により、小売事業の収益が従来比で約30%増加すると予測している。
また、今回の契約に先立ち、エバーグリーン・マーケティングは、自動車流通全般を手掛けるシティライトが保有する3施設に関しても、10年間のオフサイトPPAを締結し、2025年6月から電力の供給を開始している。