TOCOM、電力先物の取引手数料を来月から6ヵ月間半額に、市場の流動性向上を狙う

2025年8月20日
取引量拡大を目指し、TOCOMが電力先物の手数料を
期間限定で半額にする(画像:Kakidai, CC BY-SA 4.0)

東京商品取引所(TOCOM)は8月7日、電力先物取引における売買手数料を半額相当とするキャンペーンを2025年9月1日から実施すると発表した。期間は、2026年3月31日までの半年間(取引日ベース)で、市場の流動性向上および利用者の拡大を目的とする。

対象となるのは、TOCOMが扱う電力先物のオークション取引、立会外取引(J-NET取引)および相対取引全般である。清算手数料は据え置かれるが、売買手数料が約75%引き下げられることにより、手数料の合計は0.003円/kWhから0.0015円/kWhに半減する。

TOCOMでは、電力先物の取引量が拡大傾向にあり、2025年6月・7月には2ヵ月連続で月間600GWh超を記録した。一方で、欧州エネルギー取引所(EEX)の取引量は同年7月に10TWh超に達しており、TOCOMとの差は依然として大きい。

こうした状況のなか、TOCOMは2026年春に、国内第3位の電力需要を有する中部エリアを対象とした電力先物の上場を予定している。中部エリアには、自動車産業や精密機器メーカーなどの大口需要家が集積しており、2024年の電力需要は130TWhに達した。

一方、EEXも中部エリアを含む対象エリアの拡大を検討している。さらに、2025年10月14日からは東京・関西エリアを対象とした年度物商品の提供を開始する予定で、日本市場における商品の拡充を図っている。

両取引所が新商品の展開を進める背景には、国内における電力デリバティブ(金融派生商品)需要の急拡大がある。EEXの日本市場における年間取引高は、2024年に前年比約4倍の72.9TWhに達しており、市場全体としても成長基調にある。日本国内の電力先物取引では、EEXが依然として90%以上のシェアを占めており、TOCOMによる今回の手数料引き下げは、こうした競争環境下でのシェア拡大と競争力強化を図る取り組みの一環とみられる。

電力市場に関わる最新のニュースをメールで毎週受け取りたい方は、ぜひエネハブのニュースレター(無料)にご登録ください。

その他の電力市場最新ニュース

月次レポート

電力市場&市場トラッカーのサンプル(過去号の完全版)をご希望の方は以下のフォームよりお知らせください。メールでお届けします。