
蓄電池の併設が加速している(画像:FLMP)
SMFLみらいパートナーズ(以下、「FLMP」)が保有する福岡県古賀市の太陽光発電所「青柳ソーラーパークI」(出力:2.6MW/DC、1.8MW/AC)に併設した蓄電池(1.75MW/8.2MWh)が、6月20日に運転を開始した。電力の運用を受託している日鉄エンジニアリングが7月3日に発表した。
同発電所では、日鉄エンジニアリングが、同社のAI技術を活用した運用支援システム「Think EMXS™」を活用して、蓄電池の充放電計画の策定や需給管理、電力取引までの最適化を行う。
青柳ソーラーパークIは、2013年度にFIT価格36円/kWh(太陽光10kW以上)で認定を受け、2018年8月に運転を開始した。2024年11月には、FIPへの移行と蓄電池の併設を発表し、2025年2月からFIPでの運用を開始した。FIP価格(基準価格)には、従来のFIT価格が引き継がれ、市場価格に連動してプレミアムが交付される。契約期間は、当初のFIT期間と同様に2038年8月までである。
FLMPは、同社のSPC(特別目的会社)であるイロハエナジーを通じて同発電所を保有し、O&M(運用・保守)を担っている。イロハエナジーは青柳ソーラーパークIのほかにも、福岡県で2ヵ所、山口県で1ヵ所の太陽光発電所も運営しており、いずれも2013年度にFIT認定を受けている。福岡県の発電所は2015年と2017年に、山口県の案件は2019年にそれぞれ運転を開始した。
一般送配電事業者によると、2025年上半期の全国の出力制御量は過去最高を記録した。九州エリアにおいては、前年比24%減ではあったものの依然として制御量が多く、FIT発電所の収益性が悪化しているとみられ、FIPへの移行と蓄電池の併設が進んでいる。
その一例として、2025年6月には京セラTCLソーラーが「鹿児島・霧島メガソーラー発電所」(出力:25.1MW/DC、20MW/AC)に蓄電池(15MW/60MWh)を併設すると発表した。また、U-POWERも同月、九州エリアで太陽光発電所のFIPへの移行支援と蓄電池の無償設置および発電所の買い取りを発表しており、出力制御に向けた対応が進んでいる。
なお、日鉄エンジニアリングは、今後は高圧の発電所に加え、10MW以上の特別高圧の太陽光発電所でも電力の運用サービスを展開する方針を示している。