
11月7日、三井住友フィナンシャルグループ (以下「SMBCグループ」) とenechainは、発電事業者向けに燃料ヘッジサービスを提供する合弁会社「株式会社eXstend(以下「eXstend」)の設立を発表した。SMBCグループとenechainが50%ずつ折半出資する。
enechainによると、eXstendは発電事業者が自社でポジションを取って燃料価格の変動リスクを負った取引を行うのではなく、最適な取引相手(トレーダーや燃料生産者)とヘッジャー(電力事業者)の取引が円滑に進むように商流を整え、取引機会を提供することであると述べている。一般社団法人 環境金融研究機構は今回の合弁会社について、「発電用の燃料費が高騰した場合に、欧米のエネルギー先物取引所を通じて、原油や石炭を含む燃料を、固定価格で調達」するための支援を行うと報じている。
近年、国内における再エネ比率は高まっているものの日本の電力供給における化石燃料由来の発電比率は70%を超えており、そのほとんどを海外からの輸入に依存している。このような状況下で、電力事業者が燃料価格の変動リスクをヘッジすることは重要な課題となっている。今後eXstendは、電力事業者が直面する燃料価格変動リスクを最小限に抑えるためのソリューションを提供していくとのこと。
enechainはこれまでも損害保険ジャパンと共同で発電事業者向けに取引先の小売電気事業者が倒産するなどして代金の未払いが起きた際にリスクを保険で低減するサービス「eClear」を提供するなど、リスクヘッジのためのサービスを提供してきた。
同社は2019年に設立されたスタートアップ企業で、エネルギー取引マーケットプレイスの運営やエネルギー取引支援を目的とした付加サービスを提供している。JERA、関西電力のK4 Ventures、中国電力、中部電力ミライズなど、大手電力会社から資金を調達し、これまでにマーケットプレイスを通じて約2兆円規模の取引実績がある。