MIRARTHとパワーエックス、トーリング契約採用の7.4MWh蓄電所が運転開始

2025年9月11日
蓄電所の収益安定化に向けた動きが進んでいる
(画像:MIRARTHホールディングス)

MIRARTHホールディングスの完全子会社であるMIRARTHアセットマネジメント(以下、「MAM」)は9月8日、神奈川県愛甲郡愛川町において、「MSB(ミラースストレージバッテリー)神奈川愛川蓄電所」(出力:2.0MW/7.4MWh)を9月1日に運転開始したと発表した。

本件はパワーエックスとの共同事業で、2024年6月に発表された系統用蓄電所事業における業務提携に基づく第1号案件である。蓄電所には、パワーエックス製の「Mega Power 2700A」を3基設置した。

MIRARTHグループにとって本件は初の蓄電所事業となり、パワーエックスにとっても、蓄電所アグリゲーションサービスで運用する初の事例となる。

本蓄電所では、パワーエックスがアグリゲーターとして電力運用を担い、卸電力市場、容量市場、需給調整市場で取引を行う。また、パワーエックスは電力小売事業における需給調整にも本蓄電所の調整力を活用する予定だ。

特徴的なのは、両社がトーリング契約を採用している点である。MAMが蓄電所の設備を保有し、パワーエックスに対して調整力を賃貸する形をとっており、MAMは対価として固定価格の収入を得る構造となっている。これにより、収益の安定化と長期運用の見通しが確保される見通しだ。

パワーエックスの電力事業担当執行役員である小嶋祐輔氏は、LinkedInの投稿で「年度内には、さらに数件同様の案件がスタートする予定だ」と述べており、案件数が増える見込みである。

また、MIRARTHは現在、東京センチュリーとの共同出資で、神奈川県横浜市において特別高圧の蓄電所(12.0MW/65.8MWh)も開発中であり、20​​29年度の運転開始を目指している。

本件は、近年増加している長期契約型の蓄電所運用モデルの一環でもある。その一例として、東京ガスは複数の特別高圧案件で20年間のオフテイク契約を締結しており、また、Bison Energyとエンゲルハートも、2025年7月に最低収益保証付きの10年契約で合意している。こうした動きは、蓄電所の経済性と投資安定性を確保するための仕組みづくりが進んでいることを示している。

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