
入って初めて着工した発電所である(画像:Vestas)
JR東日本エネルギー開発は5月7日、同社が出資するいわき三和ウィンドエナジーが福島県いわき市で開発を進めてきた「いわき三和ウィンドファーム」(出力:33.7MW)について、着工に伴う安全祈願祭を4月24日に実施したと発表した。
いわき三和ウィンドファームは、Vestas製の4.2MW風力タービン9基を設置。総出力は33.7MWで、年間発電量は約99GWhを見込んでいる。計画はいわき三和風力発電事業として進められてきたもので、EPC(設計・調達・建設)は戸田建設が担当する。また、発電した電力はFIT(固定価格買取制度)を通じて全量売電する。同事業が認定を受けた2018年度の陸上風力のFIT価格は20円/kWhで、買取期間は20年間である。
いわき三和ウィンドエナジーは、2017年に環境影響評価手続きを開始。2021年に準備書、2023年に評価書をそれぞれ公表。すべての環境影響評価手続きを経て、2025年3月10日付で福島県に工事着手届を提出した。完工は2027年10月31日を予定している。
順調に開発を進めている案件がある一方で、JR東日本エネルギー開発はスケジュールの遅延および追加コストの増大を理由に複数の事業を中止している。2024年10月には、環境影響評価への対応に伴うコストの増大により、山形県米沢市で計画していた「栗子山風力発電事業」(最大出力:34MW)の中止を発表。さらに2025年3月には、インフレと円安の影響による建設費の上昇を見込み、鳥取県北栄町の「新北条砂丘陸上風力発電事業」(最大出力:29.4MW)の中止も決定した。
そうした中で、いわき三和ウィンドファームは、2025年に入ってから同社が初めて着工した案件となる。また、2025年3月には福島県において、自治体と共同出資する「かわうち鬼太郎山風力発電所」(出力:40.8MW)を、4月には住友商事などと共同開発した「阿武隈風力発電所」(合計出力:147MW)の運転をそれぞれ開始している。