JERAと横浜市、横浜港臨港地区でのLNG発電所併設DCの検討に関する覚書を締結

2025年10月13日
急増するDC電力需要に対応するため、官民で連携する
(画像:JERA)

JERAは10月3日、横浜市と「横浜港臨港地区に立地する自社火力発電所構内でのデータセンター(DC)事業の実現に向けた検討に関する覚書」を締結したと発表した。

今後、両者はJERAの既設火力発電所を活用したDC誘致、電力に関連するサービスの実現性、DC建設予定地への配慮、地域社会との共生のあり方について共同で検討を進める。

対象となるのは、JERAが横浜港臨港地区に保有する2ヵ所のLNG火力発電所である。1ヵ所目は1970〜1973年に運転開始した「南横浜火力発電所」(総出力:1.15GW、敷地面積17ha)、2ヵ所目は1996〜1998年に運転開始した「横浜火力発電所」(総出力:3.0GW、敷地面積45ha)であり、いずれも広大な敷地と大規模電源を有することから、DC事業者への電力供給など、併設型DCが実現する可能性がある。

JERAは「JERAゼロエミッション2050」の一環として、発電時にCO2を排出しない火力発電の開発を進めている。DCの電力需要が年々増加するなかで、低炭素電源による安定供給の実現は、DC事業者にとって重要な課題となっている。

一方、横浜市も「横浜港港湾脱炭素化推進計画」に基づき、港湾エリアにおけるカーボンニュートラルポートの形成を進めており、今回の覚書締結はその具体化を後押しするものである。両者は、電力インフラと通信インフラを連携させつつ一体的に整備を進める「ワット・ビット連携」の推進を通じて、電力インフラの効率的活用と低炭素化、さらには日本の産業競争力強化の実現を目指すとしている。

こうした取り組みは、国の政策とも連動している。経済産業省は2025年3月、「ワット・ビット連携官民懇談会」を設置し、エネルギーとデジタルの融合による基盤整備の在り方を検討している。

これらに関連して、JERAは2025年6月、さくらインターネットと基本合意を締結した。東京湾内にある9ヵ所の自社LNG火力発電所(合計出力:約28GW)を対象に、発電所の電力を直接活用するDCの可能性や、LNG冷熱をDC冷却に活かすことを検討中である。今回の横浜市との覚書の締結は、それに続くものである。

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