JERA、3年間で約5,400GWhの余剰電力を市場供出していなかったか、経産省が勧告

2024年11月20日
JERAは日本全体における約3割の発電を担うため、
市場への影響力は小さくない(画像出典:JERA)

11月12日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会はJERAに余剰電力の一部を供出していなかったことによる業務改善勧告を行なった。

同委員会によると、同社は2019年4月から2023年10月までの4年半、卸電力取引所の東京エリアのスポット市場において、市場相場を変動させる認識がありながらも適切に余剰電力の供出をしていなかった。

公正取引委員会と経済産業省の『適正な電力取引についての指針』によると、「スポット市場において売り札を入れる事業者のうち、市場支配力を有する可能性の高い事業者においては、余剰電力の全量を限界費用に基づく価格で入札することが特に強く求められる。」とされ、余剰電力の全量を市場に供出しなかった場合においては、市場相場を変動させることを目的として市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行しない「相場操縦」に該当する。

JERAは、停止する発電ユニットの出力について一部でも出力制約が生じていたコマに関して、余剰電力を供出することができる場合であっても一律にスポット市場へ「供出不可」として入札量を設定していたことが判明した。

また、同委員会は同社が余剰電力を供出しなかったことによる影響について試算のためのデータが現存する2020年10月から2023年10月までの間の試算結果を公表した。余剰電力を供出していた場合、追加で約5,400GWhの売り入札がなされていた可能性があり、そのうち約650GWhが約定していた可能性について言及された。また、同未供出量がスポット市場に供出されていたとしたら、2021年11月のとあるコマにおいては、約定価格が50円/kWh以上下落していた可能性もあると指摘された。また、同委員会はJERAについて「本件未供出による約定価格の上昇により相応の利益をスポット市場から得ていたことも推察される」と説明した。

これらの内容を踏まえ、同委員会はJERAに対してスポット市場の入札プロセスの総点検の実施、相場を変動させ得ると考えられる箇所の特定、システム改修やマニュアルの改定等の適切な措置を講ずることを勧告し、2024年12月12日までに同社からの報告を求めている。

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