enspired、日本の系統用蓄電所事業に参入、Banpu NEXTと業務提携

2025年10月24日
enspiredは、Banpu NEXTと提携し日本市場に参入する

オーストリアに本拠を置くenspiredは10月13日、系統用蓄電所事業で日本市場に参入すると発表した。同社にとって、欧州以外での事業展開は今回が初めてとなる。

今回の動きは、2024年のシリーズBラウンドで2,550万ユーロを調達した後、Banpu NEXTを含む複数の既存投資家による追加出資を受け、調達額が4,000万ユーロ超に拡大したことを受けたものである。今後は日本国内で系統用蓄電所の開発実績を持つ、タイの再エネ開発事業者Banpu NEXTとの業務提携を通じて、日本市場への展開を進める計画だ。

Banpu NEXTのCEOであるSmittipon Srethapramote氏は、「この提携により、当社の系統用蓄電所事業および電力トレーディング事業がさらに強化されると確信している。AIの活用を運用の柱に据えることで、よりスマートで信頼性が高く、持続可能なエネルギーシステムの構築を進めていく」と述べている。

enspiredは2020年に設立され、AIを活用したさまざまなエネルギー最適化サービスを提供している。これまでに欧州各国で累計1.2GW/2.0GWh規模の系統用蓄電所と契約し、そのうち400MW超がすでに稼働中である。調整力を賃貸するトーリング契約のほか、市場で電力取引を行うフルマーチャント(完全市場取引)方式、一定額の最低収益保証契約など多様なサービスを提供している。

一方、Banpu NEXTは、国内での系統用蓄電所の開発容量を、2030年までに1GWh超とすることを目標としている。2025年6月には日本法人のバンプージャパンを通じて、岩手県で同社初の系統用蓄電所である「遠野松崎蓄電所」(14.5MW/58.0MWh)を運転開始した。福島県と宮崎県でも特別高圧の蓄電所2ヵ所(各26MW/110MWh)を開発中であり、いずれも2028年の運転開始を予定している。

enspiredは、欧州市場で系統用蓄電所事業の取引実績を持つGridBeyondエンゲルハートCTPSecond Foundationなどと並び、海外で培った知見を活かし、日本の蓄電所市場において最適化運用を行う考えだ。

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