
隣接して建設する予定だ(画像:ENEOS Power)
ENEOS Powerは5月12日、神奈川県川崎市に計画している「(仮称)扇町天然ガス発電所」(出力:750MW)について、環境影響評価手続きを開始したと発表した。
同社が経済産業省および関係自治体に提出した「計画段階環境配慮書」によると、親会社であるENEOSが所有する未利用地に建設予定である。工事は2029年前半に着工し、2033年前半の運転開始を目指している。
発電設備にはコンバインドサイクルガスタービン(GTCC)方式を採用し、燃料は近隣のLNG基地からパイプラインを通じて供給する。将来的には、水素との混焼や二酸化炭素回収・貯留(CCS)システムの導入も視野に入れているとのこと。
また、扇町天然ガス発電所は2025年度の長期脱炭素電源オークションに応札すると見られる。LNG専焼火力発電所の新設に関する応札は2023年度の初回オークションから3年間で、今年度が最終年である。供給力提供開始期限は「契約締結日を起算日として8年後の日が属する年度の末日」と定められており、同発電所の運転開始予定時期はその要件を満たしている。
扇町天然ガス発電所は、2008年に運転を開始した「川崎天然ガス火力発電所」(出力:847.4MW)に隣接して建設する予定だ。この既存の発電所は、ENEOS Powerと東京ガスの共同出資により建設したもので、出資比率は51:49である。さらに、同地域では住友共同電力、住友林業、フルハシEPOによる「川崎バイオマス発電所」(出力:33MW)が2011年より稼働している。
ENEOS Powerは、ENEOSグループ内で電力小売および火力発電事業を担っており、2025年3月末時点で国内に10ヵ所以上の発電所を保有している。その中には、同社が33.3%を出資するLNG燃料の「五井火力発電所」(出力:2.34GW)も含まれ、2024年8月から2025年3月にかけて段階的に1号機〜3号機の運転を開始した。