
欧州エネルギー取引所 (EEX) と東京商品取引所 (TOCOM) によると、今年上半期の国内の電力先物取引量は両取引所において、昨年同期比で急増した。
EEXによると、日本の電力先物は「2024年上半期の取引量は前年同期比の3.4倍に急増し、わずか半年で28.9 TWhの取引があった」と述べた。TOCOMの親会社である日本取引所グループ (JPX) によると、2024年第二四半期 (2024年4〜6月) のTOCOMにおける電力先物取引量は397 GWhであった。これは前年同期比の約8倍である。
TOCOMの第二四半期の取引量は、同取引所が2019年に日本の電力先物取引を開始して以来、2番目に高い。取引量が最も多かったのは2022年4月から6月にかけての第二四半期で、JPXによると「2024年4〜6月には夏場需要期のヘッジ取引促進のためマーケットメイカー制度を期間限定で強化し市場参加者から好評であった」という。
マーケットメイカー制度とは、指定されたマーケットメーカーによる売値と買値の提示が行われ、立会取引の流動性確保を目的とした制度である。強化した内容は、1社の最低提示枚数を従来の5枚から20枚に拡大し、呼値の最大スプレッド幅は従来0.8円〜3.0円であったが、それを一律0.5円に変更した。
TOCOMの取引量は概ね増加しているが、EEXの取引量に比べるとまだ少ない。これについてTOCOMは「取引量の拡大や利便性の一層向上など、市場活性化に向けた取組が課題」と話している。
2019年9月、TOCOMにおいて日本初となる電力先物取引が試験的に始まり、2022年4月に本上場され本格的な運用となった。その後、EEXが2020年5月に電力の先物取引市場に参入した。両取引所は、東京と関西エリアのベースロード電力とピークロード電力を提供している。TOCOMの電力先物取引は週間物と月間物である一方で、EEXは週間物、月間物のほかにも四半期物、季節物、年間物を提供している。