
縮小する判断に迫られた(画像:DGPS)
Daigasガスアンドパワーソリューション(以下、「DGPS」)は、北海道苫小牧市と厚真町にまたがって計画している陸上風力発電事業について、事業規模を半分に縮小する方針を固めたと、共同通信が4月6日に報じた。環境省や地元関係者から、生態系への影響に関する懸念が示されたことを受けた判断とされている。
DGPSは2024年8月、「(仮称)苫東厚真風力発電事業」に関する「環境影響評価準備書」を公表。同準備書によると約335.9haの事業実施区域に4.3MWの風力タービン10基を設置する計画を示していた。なお、前段階の「方法書」では最大出力を38MWとしていたが、系統接続の制約により34.39MWに引き下げられていた。
事業は当初、2026年3月に着工し、2027年11月から2028年3月までの試運転期間を経て、2028年4月の運転開始を目指していた。今回の縮小方針により、今後のスケジュールや工事計画に変更が生じるかどうかは明らかになっていない。
共同通信の報道は、北海道知事が3月19日、環境大臣が3月25日に、それぞれ環境影響評価準備書に対する意見を公表した直後に明らかになった。環境大臣は、5基のタービン設置予定地付近で保護対象種の営巣や繁殖が確認されていることを理由に、計画の再検討をDGPSに求めていた。今回の事業の縮小は、それを受けた対応とみられる。
DGPSは現在、国内に7ヵ所(合計出力:135MW以上)の陸上風力発電所を保有している。直近では、2021年9月に尻別風力発電所(出力:25.3MW)の運転を開始した。苫東厚真風力発電事業は、再エネ開発への地元の懸念や建設コストの上昇といった課題を抱える中で、着工時期が迫りつつある。