Bison Energy、エンゲルハートと10年間の最低収益保証契約に向け合意、蓄電所事業でリスク分担

2025年7月23日
Bison Energyはリスクを抑えつつ、
収益機会を確保する方針だ

Bison Energyは7月7日、エンゲルハートCTP(旧Trailstone)(以下、「エンゲルハート」)と国内初となる10年間の系統用蓄電所事業に関する最低収益保証契約の基本合意書を締結したと発表した。

これは、2025年2月に両社が発表したBison Energyの関連会社Bison Brothersとエンゲルハートとの提携に基づくものである。Bison Brothersは主に蓄電池事業を手掛けており、エンゲルハートは再エネ電源や蓄電所などの電力取引の最適化に取り組んでいる。

この合意により、Bison Energyは同社が保有する蓄電所に対して一定額の最低収益が保証される。一方、市場価格が下限水準を上回る場合には追加収益を両社で分配する仕組みとなる。これにより、Bison Energyは事業の下方リスクを抑えつつ、上振れ益も取り込めることとなる。また、同契約は、同じく国内でもまだ事例の少ないオフテイク契約とは異なり、開発事業者と電力取引を担うトレーダーが収益リスクを分担する仕組みである。

Bison Energyは、国内で開発中の蓄電所の合計出力は2GWを超えており、同社のCEOであるMichael Zhang氏は、2026年末までに高圧系統用蓄電所を新たに10~15件開発および運転開始する計画を明かした。また、エンゲルハートの欧州再エネ・電力・ガス部門を統括するAnte Pogacic氏は、「本合意は、日本の蓄電池事業に長期収益の確実性をもたらす重要な一歩です」と述べた。

なお、この最低収益保証契約に基づく具体的な案件については、現時点では明らかにされていない。

Bison Energyは高圧蓄電所のほかに、2024年度の長期脱炭素電源オークションで3件の蓄電所を落札しており、新潟県と福井県でそれぞれ50MWと40MW、福島県では150MW(運転継続時間6時間以上)の大規模案件である。

蓄電所の開発が急速に増えるなか、資金調達の確実性を求める開発事業者と市場のリスクヘッジを図るトレーダーの間で、今後同様の契約が広がる可能性がある。また、2025年度の長期脱炭素電源オークションにおいて、6時間未満の蓄電池案件を入札の対象外とする方針も、こうした最低収益保証契約モデルの後押しになるとみられる。

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