
(画像:ふるさと熱電)
地熱開発に特化したスウェーデンの企業Baseload Capitalは9月2日、ふるさと熱電への戦略的投資を発表した。今回の提携拡大を通じて、世界第3位のポテンシャルを有するとされる日本の地熱発電のさらなる活用の推進を目指す。
同社のCEOであるAlexander Helling氏は、「ふるさと熱電は、コミュニティを基盤とした地熱開発の有効性を証明してきました。今回の投資を通じて、地域と共生しながら持続可能なエネルギー開発を組み合わせるこの素晴らしいモデルをさらに発展させるためのパートナーになれたことを、誇らしく、また身の引き締まる思いです。」と述べた。
また、ふるさと熱電の赤石社長は、今回の戦略的投資により、プロジェクトの財務基盤が安定することに加えて、最新技術やGXの潮流、グローバルなビジネス知見、世界中の投資家やエネルギーパートナーとのネットワークなど、貴重なグローバルリソースへのアクセスも得ることができるようになると語った。
ふるさと熱電は2012年の設立以来、日本各地で地域共生型の地熱発電モデルを推進してきた。2015年5月に最初の発電所として、熊本県小国町にある「わいた第1地熱発電所」(出力:2MW)を運転開始し、続く「わいた第2地熱発電所」(出力:5MW)を現在建設中で、2026年3月の運転開始を目指している。今後5〜10年の間に、地域共生型の地熱開発手法を用いて、全国で30MW以上の開発を展開していく方針だ。なお、同社の主要株主には、ベースロードふるさと、NTTアノードエナジー、レジル、マツオカ建機、関西電力が名を連ねている。
Baseload Capitalは日本法人のベースロードパワージャパンを通じて、2020年にふるさと熱電と協業を開始した。同年、両社は「わいた第1地熱発電所」で使用された熱水を再利用し、発電効率を最大化することを目的としたバイナリー発電所「シカパワー地熱発電所」(出力:150kW)の運転を開始した。同発電所は、ベースロードパワージャパンの国内第1号案件である。また、2022年には熊本県小国町の山翠旅館において、温泉熱を活用したバイナリー発電を採用した「山翠パワー地熱発電所」(合計出力:99kW)の運転を開始している。
日本の地熱資源量は推定23GWと、米・インドネシアに次いで世界第3位だが、設備容量は600MW未満にとどまっている。第7次エネルギー基本計画では、日本は、地熱の電源構成比を2023年度の約0.3%から、2040年度までに約1~2%へと3倍以上に拡大することを目標としている。