
上場した(画像:レジル)
米・投資ファンドBain Capitalは8月14日、分散型エネルギー事業と電力小売事業を展開しているレジルの株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。買い付け期間は10月10日まで、取引の完了は2026年1月頃の予定だ。
レジルは2024年4月に東京証券取引所グロース市場に上場したばかりだが、今回のTOBによりわずか2年足らずでの上場廃止となる見通しだ。
TOBは、Bain Capital傘下のBCJ-100を通じて行われ、買い付け価格は1株あたり2,750円。これは8月13日時点の終値2,074円に対して、32.6%のプレミアムを加えた水準で、買収総額は約520億円とされる。
レジルの創業者である中村誠司氏の資産管理会社で、筆頭株主として44.47%の株式を保有するTeam Energy GIと、8.91%を保有し資本業務提携を行っている関西電力は、Bain Capitalによる買収後も引き続き株式保有を続ける見込みだ。
Bain Capitalは、レジルの分散型エネルギー事業を軸とした事業改革に加え、新築マンションへの太陽光発電設備の設置を通じて市場拡大を狙う。また、新規事業の立ち上げやM&Aによる成長戦略も視野に入れている。
レジルの2025年6月期の業績によると、売上高は前期比88億円増の約466億円、営業利益は約4億円増の約32億円へと成長している。内部取引を除く各事業別の実績は、分散型エネルギー事業の売上高は約268億円、営業利益は約29億円、電力小売事業の売上高は約221億円、営業利益は約24億円、エネルギーDX事業の売上高は約20億円、営業利益は約3.08億円をそれぞれ計上した。
経済産業省によると、2025年3月におけるレジルの電力需要実績は約37GWhで、そのうち高圧部門が約32GWhと大部分を占める。新電力事業者としての需要実績は、全電圧で69位、高圧部門では第36位だった。
Bain Capitalは過去にも、国内有数の風力発電開発事業者である日本風力開発を2015年に買収し、2024年にインフロニア・ホールディングスへ売却するなど、日本国内の再エネ分野での投資実績を持つ。