2025年上半期の太陽光・風力発電の出力制御量、1.74TWhで過去最高を記録

2025年7月22日

2025年上半期(1月〜6月)の太陽光・風力発電に対する出力制御量が全国で合計1.74TWhに達し、暦年上半期として過去最高を記録した。一般送配電事業者の速報値に基づくもので、これまでの最高記録だった2023年上半期(1.68TWh)を約4%上回った。

年度(4月〜翌年3月)で見ると、2025年度第1四半期(4〜6月)の出力制御量も四半期として過去最高を記録した。また、2025年1月に経済産業省が公表した2025年度の各エリアにおける年間出力制御量の見通しを、すでに上回ったエリアも複数ある。なお、この見通しは、一般送配電事業者が提出した見通しを経産省が取りまとめたものである。

エリア別では、これまで最も出力制御の影響を受けてきた九州エリアでは2023年同期比24%減の863.4GWhとなった一方で、他エリアでは制御量が大きく増加した。特に、北海道、東北、中部、四国の各エリアでは、2025年度第1四半期(4月〜6月)の制御量が四半期ベースで過去最高となった。

さらに、東北、中部、関西の3エリアでは、2025年1月に経済産業省が公表した2025年度の年間出力制御量の見通しをすでに上回っており、これまでの傾向から見ても異例のペースで増えている。

過去の傾向として、夏季のピーク需要を含む7〜9月および10〜12月の出力制御量は比較的少なく、2018年〜2024年の平均では7〜9月が全体の1%、10〜12月が11%にとどまっている。一方で、1〜3月の制御量は全体の23%を占める傾向にあり、このままのペースが続けば、6月末時点で年初予測の92%に達している四国を含め、さらに多くのエリアで年間見通しを上回る出力制御が行われる可能性がある。

長期的には、再エネの導入拡大や原子力発電所の再稼働が進むことで、出力制御量の増加は避けられないとみられる。FIT電源を保有する発電事業者の間では、出力制御による収益性の悪化を改善する手段として、FIP制度への移行や蓄電池との併設を検討する動きが広がっている。FIPの発電所は市場連動型の支援のほか、コーポレートPPAによる収益の確保が可能であることから、今後の導入が進むとみられる。

また、経産省は早ければ2026年度中に出力制御の条件や順番を定めた「優先給電ルール」の見直しを行い、FIT電源を優先的に出力制御の対象とする仕組みを導入する見込みである。こうしたルールの見直しも、FIP制度への移行を後押しするとみられる。

電力市場に関わる最新のニュースをメールで毎週受け取りたい方は、ぜひエネハブのニュースレター(無料)にご登録ください。

その他の電力市場最新ニュース

月次レポート

電力市場&市場トラッカーのサンプル(過去号の完全版)をご希望の方は以下のフォームよりお知らせください。メールでお届けします。