電源開発と日立、重要社会インフラ向けAI用データセンターの共同開発に関する覚書を締結

2025年7月30日
Jパワーは学習用と推論用DC向けに、再エネ電源を活用する

電源開発(以下、「Jパワー」)と日立製作所は7月7日、鉄道、電気、ガス、水道などの重要社会インフラ事業者向けのAI用データセンター(DC)構築に関する覚書を締結したと発表した。

同DCでは、AIの学習および推論用のDCを分散して設置する予定だ。一般的に学習用のDCは大量のデータでAIを訓練するため、電力消費量が多いものの、推論用に比べ即時性が求められないため、地方に設置することが適している。

一方、推論用のDCは即時性が求められるため、都市部が適している。同事業では、地方の学習用DCから都市部の推論用DCにデータ転送を行う予定だ。

両社の覚書に基づき、JパワーはAI-DC向けの土地や建物の開発、保有する水力、風力、地熱、太陽光などの再エネ電源に加え、トランジション火力(バイオマス・水素・アンモニア混焼など)を通じた供給を行い、日立はサーバーやストレージなどのIT設備およびAIを含めたデジタル技術の提供を行う。

なお、具体的なスケジュールや立地については、現時点では明らかにしていない。

この取り組みは、DCの地方分散を推進する政府の「ワット・ビット連携」政策に資するものとされる。ワット・ビット連携とは、電力インフラと情報通信インフラの連携を意味し、ワット(電力)側の脱炭素電源の有効活用と、ビット(情報通信)側のAI用DCの適地の確保という時代の要請に応えつつ、AIを活用した地域振興・経済成長にもつなげる狙いがある。

電力業界ではDC関連の動きが相次いでおり、2025年6月にはJERAとさくらインターネットがLNG火力発電所にDCの併設を検討する覚書を締結している。さらに東京電力パワーグリッドも急増するDC需要に対応するため、変電所新設に向けた用地の情報提供を募集しており、エネルギー事業者によるDCの基盤整備に向けた動きがバリューチェーン全体で広がっている。

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