
ひとつとしている(画像:原子力規制委員会)
関西電力は7月22日、福井県美浜町の原子力発電所「美浜発電所」1号機の建て替えを視野に、現地調査を再開する方針を発表した。原発の新増設に向けた具体的な検討を電力大手が正式に再開するのは、東日本大震災以降で初めてとなる。
美浜発電所は1号機(出力:340MW)が1970年に、2号機(出力:500MW)が1972年にそれぞれ運転を開始したが、新規制基準への適合に向けた工事費用等を考慮した結果、両基とも2015年4月に運転を終了している。現在は3号機(826MW)が1976年12月から稼働を続けている。
同社は、今回の調査は新規制基準への適合性の有無を確認するため、地形や地質などの特性を把握し、後継機設置の可能性を検討するために行うものであると説明している。また、後継機の設置は調査結果に加えて、革新軽水炉の開発状況、政策動向や制度設計、事業環境などを総合的に考慮して判断するとしている。なお、調査の実施時期や後継機の建設計画については明らかにされていない。
関西電力は2010年6月から後継機の設置検討を開始し、同年11月には地元への説明を経て「動植物調査」および「地形・地質調査」に着手したが、2011年3月11日の福島第一原発事故を受け、翌日以降の調査を中断していた。
同社は「ゼロカーボンビジョン2050」のもと、原発の新増設やリプレースの実現を目指している。政府の第7次エネルギー基本計画においても、S+3E(安全性を前提とした安定供給・経済効率性・環境適合)の観点から、原子力を2040年度時点で電源構成の20%程度とする方針が示されており、同社の方針はこれに沿ったものといえる。