
年間50万tの廃棄問題に対応する(画像:経済産業省)
関西電力は6月3日、廃棄物処理や再資源化を手掛けるTREホールディングスおよび、化学品・シリコン製造を主力とするトクヤマと共同で、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルに関する協定書を締結したと発表した。
同協定では、太陽光パネル製造における使用済み製品を原料として同種の製品を製造する水平リサイクルを軸とする事業モデルの構築を目指すという。
具体的には、使用済み太陽光パネルの排出予測に関する調査、水平リサイクル実現に向けたネットワークの構築、事業モデルの検討、排出からリユース・リサイクルまでのCO2排出量削減の検討などを行う。
また、トクヤマは2025年4月に発足した「使用済太陽光パネル資源循環推進・北海道コンソーシアム」に参画し、実験施設を活用した低温熱分解技術の実用化や、リサイクル体制の構築に取り組んでいる。
FITが開始した2012年度以降、太陽光発電の導入は急速に進み、2030年代後半には、制度導入初期に設置した太陽光発電所がリパワリングの時期を迎える。ピーク時には年間約50万tの廃棄が発生する見通しで、使用済みパネルのリサイクルは喫緊の課題となっている。
太陽光パネルの主要構成素材であるガラスやシリコンのリサイクルは、技術面や経済面で課題があるとされており、特にガラスは太陽光パネルの重量の約6割を占めるため、リサイクルによる最終処分量の大幅な削減が期待される。
政府は太陽光パネルの再資源化を促進するため、製造業者または輸入業者に対して第三者機関への費用支払いを義務ける法案を検討中である。ただし、浅尾環境大臣は2025年5月13日の記者会見で、法政的な観点からさらなる検討が必要との認識を示し、今通常国会での法案提出を見送る方針を明らかにした。