
浮体式洋上風力発電所である(画像:戸田建設)
戸田建設が主導するコンソーシアムが開発を進める、五島フローティングウィンドファームは4月20日、長崎県五島市沖で建設中の浮体式洋上風力発電所の名称を「五島洋上ウィンドファーム」(出力:16.8MW)とし、予定通り2026年1月の運転開始を目指すと発表した。さらに、同26日には、最後となる8基目の風力タービンを福江港近くの建造ヤードから海上へと搬出した。
同コンソーシアムには、戸田建設のほか、ENEOSリニューアブル・エナジー、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力が参画している。
同事業は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(再エネ海域利用法)に基づき、第1ラウンドで公募を行った最初の海域であり、唯一の応札者として開発が許可されたものだ。当初は2024年1月の運転開始を予定していたが、2023年に設置済みのタービンの一部に浮体構造部の不具合が判明し、運転開始時期を2026年1月へと見直しを行った。
五島洋上ウィンドファームには、2.1MWの風力タービンを計8基設置予定で、複数の風力タービンを備える日本初の浮体式洋上風力発電所となる。発電した電力は、FIT(固定価格買取制度)により、36円/kWhで売電する予定だ。
戸田建設は同事業に先立ち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受け、浮体式洋上風力発電技術の開発に取り組んできた。さらに、京都大学などと共同で環境省の実証事業にも携わり、2013年には同じく五島市沖で日本初となる商用規模の浮体式洋上風力発電所(出力:2MW)の運転を開始した実績もある。
国内の海洋条件と洋上風力発電の導入ポテンシャルを十分に活かすためには、浮体式発電の大幅な拡大が必要である。こうした背景から、日本各地で浮体式洋上風力発電の研究開発や実証・商用プロジェクトが進められている。
なお、五島洋上ウィンドファームとは別に、グローカルも浮体式洋上風力に力を入れており、2025年2月には福岡県北九州市・白島沖での浮体式洋上風力発電所(出力:30MW)の環境影響評価手続きを開始した。また、同市の響灘沖では、グローカルを含む6社による「ひびき灘沖浮体式洋上風力発電所」(出力:3.0MW)を今月に入り、稼働させた。同発電所は、日本初の鋼製バージ式を採用しており、NEDOの「次世代型浮体式洋上風力発電発電システム実証研究(バージ型)」の一環として、2014年より開発を進めてきた事業である。