
2012年に設立された(画像:エネ・シード)
西部ガスは7月31日、完全子会社のエネ・シードが九州で保有する5ヵ所の太陽光発電所(合計出力:9.12MW)について、FITからFIPへの移行と同時に、蓄電池を併設すると発表した。なお、各発電所に併設する蓄電池の容量については、現時点では公表されていない。
このうち、長崎県長崎市の「エネ・シード長崎第2太陽光発電所」(出力:915kW/DC、750kW/AC)では、すでに蓄電池の設置を進めている。福岡県北九州市にある4ヵ所の太陽光発電所については、2025年度中の導入が予定されている。北九州市内の対象発電所は、「エネ・シード北九州太陽光発電所」(出力:1.8MW)、「エネ・シード北九州第2太陽光発電所」(出力:2.4MW)、「エネ・シード響南太陽光発電所」(出力:1.7MW)、「エネ・シード吉志太陽光発電所」(出力:2.3MW)である。
これらの事業は、経済産業省の発電所併設型蓄電池の導入支援制度を活用して実施される。エネ・シード長崎第2太陽光発電所は、2024年度予算「再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」の補助を受けるが、交付額は明らかにされていない。一方、北九州市内の4ヵ所については、2024年度補正予算「再生可能エネルギー電源併設型蓄電システム導入支援事業」に採択されており、設計費、設備費、工事費の2分の1以内または3分の1以内の補助が受けられる。うち2ヵ所にはそれぞれ約1.5億円、残る2ヵ所にはそれぞれ約1.77億円の交付が見込まれている。
FIP制度へ移行後、エネ・シードは発電する電力と非化石証書を西部ガスに販売し、小売事業向けに供給する計画だ。また、新エネルギー新報によると、蓄電池はGSユアサ製が設置され、アグリゲーターは東芝エネルギーシステムズが担当する。一方、西部ガスは中長期的に蓄電池の自社運用も見据えていると報じている。
対象となる5ヵ所のうち4件(長崎第2、響南、吉志、北九州)は、FIT制度が開始された初年度の2012年度に認定を受けており、FIT価格は40円/kWh。北九州第2太陽光発電所は、2013年度に認定を受け、FIT価格は36円/kWhで運用している。FIPへ移行後も、契約期間は従来のFIT期間を引き継ぐ形となっており、2032年から2034年までの残存期間がある。
こうしたFIPへの移行と蓄電池併設の取り組みは、他社でも進められている。その一例として、SMFLみらいパートナーズが福岡県古賀市で保有する「青柳ソーラーパークI」(出力:2.6MW/DC、1.8MW/AC)は蓄電池併設後、すでに運転を開始している。また、伊藤忠商事と九電工の合弁会社である佐賀相知ソーラーは「佐賀相知太陽光発電所」(21.0MW/DC、16.5MW/AC)、京セラTCLソーラーの「鹿児島・霧島メガソーラー発電所」(出力:25.1MW/DC、20.0MW/AC)でも、同様に導入計画が進んでいる。こうした取り組みは、出力制御による売電収入の減少を緩和し、収益の安定化を図る狙いがある。