
(画像:MIRARTHホールディングス)
自然電力は9月4日、岩手県大船渡市で開発中の「大船渡第一・第二太陽光発電事業」(出力:35.2MW/DC、29.4MW/AC)について、FIT認定の失効とコスト高騰などを理由に、計画を中止すると発表した。
経産省によると、同事業がFIT認定を受けたのは2013年度で、当時のFIT価格は36円/kWh。政府は2022年4月から、一定期間を経ても運転開始が見込めない事業計画に対する「FIT認定失効制度」を施行しており、同社は2025年8月上旬に経済産業省から認定失効の通知を受けていた。これを受けて事業性の再評価を行い、累積投資の負担と人件費および資材費の高騰を考慮した結果、事業の継続は困難と判断した。
同事業は、2012〜2013年度に認定された大型案件(10MW/AC以上)のうち、未稼働のまま残った約20件の1つである。産経新聞(2025年4月5日付)によると、2022〜24年度に約8万件の認定が失効し、このうち2万5,799件がFIT初期の2012〜14年度に認定を受けた案件だった。政府は高いFIT価格で認定を受けた案件が失効したことにより、「再エネ賦課金」として国民負担となる恐れがあった4兆円程度の抑制につながったとしている。
同事業については、自然電力の子会社である岩手三陸ソーラーパワーが環境影響評価手続きを進めていたが、2025年1月に公表された環境影響評価準備書に着工や運転開始の目標時期に関する具体的な記載はなかった。自然電力は、環境影響評価手続きの成果については、自然環境への影響に関する科学的知見として地域へ引き続き提供するとしている。