
解除の条件を満たす可能性がある
KDDIグループの沖縄セルラー電話(以下、「OCT」)が、2025年10月に沖縄エリアで小売電気事業に参入すると、7月24日に電気新聞が報じた。
同社は現在、沖縄電力の販売代理事業者として「auでんき」のブランドで電力小売を行っているが、今後はその約7.7万件の既存顧客を順次、自社契約に移行させる方針だ。
移行が順調に進めば、低圧市場において少なくとも5%以上のシェアを持つ事業者が2社以上という条件を満たし、沖縄エリアが全国で初めて低圧分野の規制料金の解除対象となる可能性がある。
経済産業省によると、2025年3月時点で沖縄エリアの低圧需要は301GWhで、うち55%が自由料金メニューで販売されている。同エリアには、17の小売電気事業者が参入しており、低圧市場でシェア5%以上を持つのは沖縄ガスニューパワー(6.7%)のみである。OCTの参入により、同社が5%以上のシェアを獲得すれば、規制料金撤廃の前提条件が初めて整うことになる。
本来、規制料金は2020年までに撤廃予定であったが、多くのエリアで解除条件を満たさず、現在も維持されている。撤廃には、「契約口数ベースでシェア5%以上の独立した競争者が2社以上存在すること」が必要だが、この条件を満たすエリアはまだない。特に、北海道、関東、中部、関西、沖縄エリアでは、5%以上を占める1社目(多くは都市ガス系)は存在するものの、2社目が存在せず、その他のエリアでは、シェア5%以上の新電力が1社もない状況だ。
沖縄エリアは離島が多く、独立系統であることから供給コストや市場規模に関する課題が大きく、長らく沖縄電力による地域独占が続いていた。しかし、OCTのようにすでに大規模な顧客基盤を持つ事業者の参入は、規制料金の解除条件を満たしやすい。
電気事業連合会の林会長(中部電力社長)は、2024年10月の定例会見で規制料金について「燃料費調整制度の上限を超える大幅な燃料費高騰といった局面において、迅速に料金を見直すことができないことにより、小売事業者の競争環境や収支に大きな影響を与えております。それを踏まえれば、撤廃するのが本筋であると考えております」と述べている。こうした要望があるなかで、今後、規制料金の解除条件が満たされた場合に加え、制度そのものの見直しが検討される可能性についても関心が寄せられている。